【実況者】黄色い糸。４【レトルト】

黄色189 ページ39

昨日、レトくんに再度告白されたことがまるで夢の様で。


もしかして昨日の夢に悩んでいるんじゃないかって、現実逃避したくなる。



今の私には好きな人なんていなくて、レトくんもキヨくんも断るつもりでいるが。


もう二度目のレトくんが、諦めず三度目の告白をしてくるとは思えない。



出来ることなら二人のどちらか、今回の告白ではっきりさせたいのだが。


「…別に二人が好きって訳でも無いし…」



静かな空間の中、テーブルに組んだ腕の中に顔を埋める。


寝不足なのだろうか、今朝は鏡を見ると薄いくまが出来ていた。



選択肢が二人しかないと言う訳ではない。でも、出来ることなら自分に好意を向けている人から選びたいから。


こんな気持ちの自分に、どちらかが振られるのだと思うと辛くなる。



人のことで辛い思いをしたことはない。


今まで、ずっと自分のことだけで…。



いや、何方も傷付けたくないのは、結局自分の満足の為なのかも。


何方かを傷つけてそれを見るのが嫌なだけ。



…ああ、私ってば幾つになっても自分のことしか考えていない。



思わず溜息を漏らし、目を瞑る。


そろそろ自分と言う都合の良い女の存在に嫌気がさしてきた。




「女の子に、なりたいなあ…」



端から見れば意味も分からない言葉を、ただ吐き出す。



物語に出てくる可愛い女の子なら、きっと一途で、他の人に迫られようと自分の想いだけを貫く。


そして、好きな人の為に自分を磨いて、最終回で振り向いて貰えるんだろう。



そんなヒロイン、今の私とは程遠い。



私には好きな人は愚か、そんな最終回すら待っていないのだから。


乙女なんて夢見ていたが、もうこんな歳になれば無理なのだと思い知らされるばかり。




…辛い。ただただ、辛い。


きっと、悲しむのは、辛い思いをするのは私じゃない。



それは、長年私を想い続けてくれた二人なんだろうけれど。


今だけは、悲しみを噛み締めたいのだ。




「…」



涙を流す時すら、声を出さないなんて。


尚更、ヒロインとは程遠いものだ。



こんなヒロインに、運命の人が現れるはずもない。

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