黄色145 ページ45
「あ、そうだ。夕飯どうする？」
不意に思い出し、立ち上がりながらそう尋ねた。
何か無いものかと冷蔵庫を開く俺を見上げながらAちゃんは「そうだなあ」と呟く。
また駅の方へ戻って行けばファミレスとかもあるし、何ならもう少し先を行ったところにはコンビニもある。
「…此処で食べてくのもアリだけど…」
多分、Aちゃんはファミレスの方が良いんだろうな。
そう思って冷蔵庫の扉を閉じかけた時、それはもう一つの手によって止められた。
「材料何があるの？」
「えっ…」
それは俺より小さな、Aちゃんの手だった。
そしてそんな手と同時に、そんなAちゃんの言葉にただ驚き、呆然とAちゃんの方へ顔を向ける。
ふわりと柔らかい香りが鼻をくすぐった。
あ、この匂い好きだ。
そんな惚けたことを考えていると、Aちゃんは冷蔵庫内のものを見ながら考える素振りを見せて言った。
「なんか食べたいものある？丼物なら作れそうだけど…」
「えっ、そんなん作れんの？」
まあ丼物なら昔母親に作って貰ったことはあるし、それなりに簡単なメニューではあるんだろうが。
俺は全くその作り方を知らない、ほぼ素人に過ぎないのだ。
「うん、一応ね…レトくんがそれで良ければ作るけど…」
「つ…作って貰えるなら、何でも」
流石俺より三年程一人暮らし歴が長いだけあるな。
感心する思いと、Aちゃんの手料理が食べられるのだと舞い上がる思いとがぶつかり合い、思わず表情に出しかけてしまう。
そんな俺の返事を聞いてAちゃんは、「よし、じゃあ作る」と張り切る様に冷蔵庫から材料を出した。
「色々勝手に使っちゃうけど、良いかな？」
「あ、うん。全然大丈夫」
正直冷蔵庫の中はあまり物が入っては居らず、中身を見られてどうこうは全く無い。
強いて言うなら、キッチンに立つ後ろ姿にどうもときめき期待してしまう。
どうやら俺の頭は相当可笑しくなってしまったらしい。
「他人丼にしてみようかと私は考えますがどうですか」
「…凄い。Aちゃんって何でも出来るね」
「……何でもって訳じゃないよ」
俺に褒められてか、少し照れ臭そうに顔を逸らしたAちゃん。
「ぼさっとしてないでそれ混ぜて」なんて、顔を合わせず卵を指差すAちゃんが可愛いと思ったのは敢えて口に出さなかった。
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私@ウサギちゃん☆(プロフ) - アキさん» ああああ有難う御座いますんんんんんん (2016年6月29日 22時) (
レス) id: 24b6d4d48a (このIDを非表示/違反報告)
アキ - レトさーんんんんんん (2016年6月29日 20時) (レス) id: 4352fad482 (このIDを非表示/違反報告)
私@ウサギちゃん☆(プロフ) - 繭子さん» はじめまして！そんなに褒めて頂けて嬉しいです！近くて遠い切ないところも意識して書いているので良かったです！気まぐれ更新ではありますが、頑張ります！ありがとうございます！ (2016年2月10日 7時) (レス) id: c297b50f4f (このIDを非表示/違反報告)
繭子 - はじめまして。今日初めて出会った作品なのですが、この世界感に惹き込まれました！！それぞれの思いが糸のように絡み合う……どこか切ないところに心がウズウズしてます。これからの展開がとても気になります……！！応援してます(*^^*) (2016年2月9日 21時) (レス) id: 60e1ca5364 (このIDを非表示/違反報告)
私@ウサギちゃん☆(プロフ) - 抹茶。さん» そうですね…確かに、知らず知らずと言うのが一番切ない気もしますね…。最近は更新がスローペースになりがちですが、次の展開の為にも頑張ります！ありがとうございます！ (2016年2月8日 21時) (レス) id: a192a87f35 (このIDを非表示/違反報告)
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