Lens.126 ページ6
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さすがに社長のマンションまで迎えに来てもらうのは気が引けて、少し歩いたコンビニに迎えに来てもらうことにした。
抜けた腰を奮い立たせて、無理矢理にでも歩いた。
この時間にスーツでコンビニの前に座ってるのは如何なものかと少し考えたが、もういい。
どうせすぐこのスーツも着なくなる。
今ある立場なんて消える。
なら、別に、いい。
少し時間が経てば、店員さんにやはり不審な目で見られたがタイミング良く、目の前に見知った顔の人物が立ち止まった。
ふ、と顔を上げると、それはもう俺が先程迎えに来いと頼んだ相手で。
「智くん、」
「ん。帰るよ。」
そう、座り込んでいた俺の手を引いて立ち上がらせる。
目の前に、見慣れない車が。
「……車?」
「うん。」
「…なんで、車、持ってないっしょ、」
「レンタカー。今日ちょっと使ってそのままなの。」
「そ、なの。」
「うん。」
きゅ、と掴まれた手。
助手席に誘導されて座ったところで、頬にふわ、と智くんの手が添えられた。
「詳しいことは家で聞くから。」
くしゃ、と撫でられた頭に、
色んな意味で、心臓が締め付けられる。
なんで、分かるの。
何も、言っていないのに、
なんで、俺の痛いことが、突かれたくないことが、分かるの。
それはきっと長く一緒にいるから。
ってことじゃない事くらい、自分でも分かっていて。
気づかないふりをしている自分は、
以前社長が言った通りの臆病者だ。
智くんは、俺の中での良き理解者である。
けれど、智くんにとって俺はそうではないのだろう。
いつからそうなったのかは分からないが、
気づいた時には俺は、無意識にずいぶん智くんに酷いことをしていたようだ。
「ハ、………」
訳が分からなくなってきた脳内を落ち着かれる為に、目を閉じた。
少しばかり運転の荒い智くんの気配を存分に隣に感じながら、周りとの距離を置く。
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adg567(プロフ) - 2人を味方につけた社長は無敵ですね今後の展開も楽しみにしてます(^^)/ (2016年9月4日 20時) (携帯から) (レス) id: ae6ca517f2 (このIDを非表示/違反報告)
ミラノスカイ(プロフ) - adg567さん» やっと伝えました秘書さん〜( ; _ ; )物語に入り込んでくださって本当に嬉しいです( ; _ ; )楽しみにしていてくださいっご期待に添えるよう頑張ります! (2016年8月12日 17時) (レス) id: b640a89147 (このIDを非表示/違反報告)
ミラノスカイ(プロフ) - ゆいぴょんさん» ずっと読んでくださったんですか!!有り難き幸せ〜( ; _ ; )そうなんですやっと言いました!長かったです本当もう手のかかる秘書さん( ; _ ; )笑 応援ありがとうございますっ頑張ります☆ (2016年8月12日 17時) (レス) id: b640a89147 (このIDを非表示/違反報告)
adg567(プロフ) - わ〜!とうとう気持ち伝えちゃった(*≧m≦*)でもまだまだ安心できない感じですね!!続き楽しみにしてます♪ (2016年8月12日 11時) (携帯から) (レス) id: ae6ca517f2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいぴょん(プロフ) - この作品、ずっと読ませてもらってます!ついに!秘書さんがホントの気持ちを社長に伝えましたね!すごく切ないけどドキドキしてしまいました…!続きが気になるのでこれからも更新頑張ってください!応援してます!! (2016年8月12日 8時) (レス) id: ceaba55208 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミラノスカイ | 作成日時:2016年6月12日 19時