Lens.123 ページ3
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応えてはいけないその言葉が、
堪らなく嬉しかった。
元々緩みきっていた涙腺はもうボロボロで、
体が震えた。
「翔さん、」
「っ………、っふ、…」
社長に見つめられないように、やっと手で顔を覆った。
これ以上みっともない姿晒せない。
「しょーさん。」
腑抜けてしまいそうな声にさらに涙腺を煽られた。
頭の中がいっぱいいっぱいだ。
応えたい、応えられない、傍にいたい、いられない、
いっぱい、いっぱいで、
でも手の隙間から見える社長はやっぱり見たことない表情で、ずるくて、
ズルズルと鼻を啜る俺に、隙間から見える社長は苦く笑った。
「翔さんてば、」
「っ、……ん、ですか…」
「ふ、…嬉しい?」
迷う。
迷って。
でも漏れる本音。
コク、と頷くと社長はまた、ふ、と笑う。
「返事は?」
「………、」
どもった俺。
に、社長は至って普通。
「あぁ、やっぱり今じゃなくていい。明日でもいつでもいいから。聞かせて。」
応えては、いけない。
それは、明日になっても、いつになっても。
俺がこの人の秘書を辞めるまでは。
応えたいのならば、……
あぁ、やっと、…
やっと考えが纏まった。
こんなギリギリまでこないと自分は諦めが悪いのかと心底呆れたが、それもそうだ。
だって俺はこの人の秘書でありたかったんだから。
どんな理由であれ、傍にいたかったんだから。
俺は、この人の秘書を辞める。
全部が解決するまで、俺はこの人から離れなくちゃいけない。
バカになった涙腺に任せて、どうにでもなれと社長の首に腕を回して抱きついた。
最後だ。最後。
どうせこの事も何かしらで小林は嗅ぎつけてるんだろう。
社長に迷惑がかかる前に。
明日にでも辞めなければ。
どした?と問う社長を無視して、首を締めそうな勢いで力を強めれば、社長は俺に手を緩めるように促して、
言われるままにすれば、塞がれた唇。
「ん、…っ、……、」
酸欠になりそうな勢いのキス。
抵抗はしない。
俺だってこの人が好きだからだ。
今はまだ伝えられない。
辞めたくないそう思っても辞めなくちゃいけないところまできた。
触れ合う唇に、明日のことを考える余裕は与えられないけれど
嫌でも、俺は明日で秘書じゃなくなる決意をした。
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adg567(プロフ) - 2人を味方につけた社長は無敵ですね今後の展開も楽しみにしてます(^^)/ (2016年9月4日 20時) (携帯から) (レス) id: ae6ca517f2 (このIDを非表示/違反報告)
ミラノスカイ(プロフ) - adg567さん» やっと伝えました秘書さん〜( ; _ ; )物語に入り込んでくださって本当に嬉しいです( ; _ ; )楽しみにしていてくださいっご期待に添えるよう頑張ります! (2016年8月12日 17時) (レス) id: b640a89147 (このIDを非表示/違反報告)
ミラノスカイ(プロフ) - ゆいぴょんさん» ずっと読んでくださったんですか!!有り難き幸せ〜( ; _ ; )そうなんですやっと言いました!長かったです本当もう手のかかる秘書さん( ; _ ; )笑 応援ありがとうございますっ頑張ります☆ (2016年8月12日 17時) (レス) id: b640a89147 (このIDを非表示/違反報告)
adg567(プロフ) - わ〜!とうとう気持ち伝えちゃった(*≧m≦*)でもまだまだ安心できない感じですね!!続き楽しみにしてます♪ (2016年8月12日 11時) (携帯から) (レス) id: ae6ca517f2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいぴょん(プロフ) - この作品、ずっと読ませてもらってます!ついに!秘書さんがホントの気持ちを社長に伝えましたね!すごく切ないけどドキドキしてしまいました…!続きが気になるのでこれからも更新頑張ってください!応援してます!! (2016年8月12日 8時) (レス) id: ceaba55208 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミラノスカイ | 作成日時:2016年6月12日 19時