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Lens.140 ページ20








「嫌だと言ったら。」


「社長、僕はまだ何もお話していません。」


「聞かなくても分かる。見れば分かるし前々からよそよそしい事には気づいていたとさっき言いましたよね。」


「それとこれとは関係ありません。社長、お話したいことがあります。」



「いやだ、」


「社長、」


「社長命令だ。聞きたくないしそんなモノは受理しないすることはできない。」






あぁ、社長、


未だ片手で俺を後ろから抱きしめている社長の腕は少し震えている気がした。



愛おしい、と、あぁここを離れたくないと、思うけれど。






「社長、話を聞いてください。」


「嫌だと言っているだろう。」


「嫌でも何でも聞いてください。」


「それは出来ない。」


「社長、」


「〜ッ、こんなモノは見たくなかった!多少強引な事はしてきたし無理やり秘書にしたこともある、だけどそれでも君はその時こんなモノは持ってこなかったしそれ以降も持ってこなかった君が決まった事はやり通すということを知っていたから漬け込んだところもあるがそれでも君はこの立場を気に入ってると思っていたしそれに、ッ……、」



社長も、こんな風に捲し立てて言うくらいには俺がいなくなるのを嫌だと思っていくれてるのだろうか。

そのまま後ろを向いて、はじめて、自分から社長の唇に口付けた。



珍しく取り乱す社長の、紡がれる言葉を遮るように。


そうだな、口付けるというより口を塞ぐの方が正しいのだろうか。

勢いよく重なった唇に社長は一瞬驚いたような気がしたけれど重なって数秒、離しかけた瞬間腰を引かれ、再び重なった。


恋人同士でもないのにキスをするのは、これで何回目だろうか。



数えるのなんて億劫なぐらい社長は今までよりも深く熱を込めた。


「ん、っ………、」



腰を抱かれ、社長の手にある辞表はきっとぐしゃぐしゃになっているのだろう、腰に当たっている塊から想像がつく。




離れては、社長は角度を変えて啄むようなキスを送ってくる。


何も言わせない、言えないように。




あまりにも続くキスに息をする間が分からなくなり呼吸が途端に難しくなってきて、
社長の胸をグイグイと押しても離してくれる気配は無い。

社長室の扉は開きっぱなしで、基本あまり人は来ないが、いつ誰が来るか分かないのに。


あぁ確かに、分からなかった、社長も意外と子供じみたことをするんだな。


口角が上がったことに社長は気づいたのか、やっと唇が離れてくれた。

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adg567(プロフ) - 2人を味方につけた社長は無敵ですね今後の展開も楽しみにしてます(^^)/ (2016年9月4日 20時) (携帯から) (レス) id: ae6ca517f2 (このIDを非表示/違反報告)
ミラノスカイ(プロフ) - adg567さん» やっと伝えました秘書さん〜( ; _ ; )物語に入り込んでくださって本当に嬉しいです( ; _ ; )楽しみにしていてくださいっご期待に添えるよう頑張ります! (2016年8月12日 17時) (レス) id: b640a89147 (このIDを非表示/違反報告)
ミラノスカイ(プロフ) - ゆいぴょんさん» ずっと読んでくださったんですか!!有り難き幸せ〜( ; _ ; )そうなんですやっと言いました!長かったです本当もう手のかかる秘書さん( ; _ ; )笑 応援ありがとうございますっ頑張ります☆ (2016年8月12日 17時) (レス) id: b640a89147 (このIDを非表示/違反報告)
adg567(プロフ) - わ〜!とうとう気持ち伝えちゃった(*≧m≦*)でもまだまだ安心できない感じですね!!続き楽しみにしてます♪ (2016年8月12日 11時) (携帯から) (レス) id: ae6ca517f2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいぴょん(プロフ) - この作品、ずっと読ませてもらってます!ついに!秘書さんがホントの気持ちを社長に伝えましたね!すごく切ないけどドキドキしてしまいました…!続きが気になるのでこれからも更新頑張ってください!応援してます!! (2016年8月12日 8時) (レス) id: ceaba55208 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ミラノスカイ | 作成日時:2016年6月12日 19時

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