Lens.131 ページ11
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自分でも驚く程、仕事には集中出来た。
社長に渡される資料も、諸々すぐ片付いて。
アポも取れたし。あぁでもこのアポ、挨拶は俺が行くんじゃなくなるのか。
一瞬でもそう考えるとぶわっと引っ込めた色んな気持ちがぶり返すから頭をふるって仕事だけを考えて。
そう、仕事だけを。
お昼も近づくと、昼食だ。
以前は相葉と食べていたが秘書になってからは社長を連れて出ることが大半で、外に出るのが嫌な社長を無理やり連れ出していた。
「……本当、面倒くさがりな人だ、」
きゅう、と締められるような胸なんて、知らないふりをすればいい。
今日は、小林に連絡しなくては。
嫌でも声を聞かなくては。
12時を回った頃、昼食の時間。
社長には一応断りを入れてから連絡しよう。
もちろん、内容を伝えるわけじゃない。
コンコンと秘書室から繋がる社長室の扉を叩いて気の抜けた返事が聞こえたら失礼しますと言って入る。
そうすれば大きな革の椅子に丸まってゲームをする社長がいて。
「相変わらず翔さんはお堅いねぇ、」
「え?」
「別に〜。」
「……?、…あの僕ちょっと、」
「翔さん。」
「うぇ、あっ、はい。」
途中で切られ、少々びっくりする。
「お腹減ったね、」
「え、……あ、はい。まぁ、お昼ですし。」
「ご飯。」
「あ、だからその僕仕事の事で少々電話してきても、」
「やだ」
「え?」
「やだ」
「……、えっと、」
「俺腹減ってんの。」
「え、えぇ…それはもう重々承知して、」
「分かってないよ。」
少し強い口調になった社長は、手に持っていたゲーム機を乱雑にデスクの上に置いて不機嫌そうな顔で俺を見た。
………困ったな、出来るだけ社長と同じ空間にはいたくないのだけれど。
それは、後に色々引きずるからであって決して嫌な訳では無い。
相変わらず、訳の分からない人だ。……そうか、変人だもんな、変人社長だった。
そう頭によぎるとだんだんおかしく思えて。
わけも分からずにそんな顔されても、俺だって困る。
「……ふ、…ふふ、」
「なんで笑うの。」
「なんでって、…社長、なんなんですかいきなり、」
「………。」
まぁ、小林に連絡するのは昼食を取った後でも構わない。時間はあるわけだし。
「そんなにお腹減ってたんですか?珍しいですねいつも外に出たがらないくせに。」
おかしく笑う俺を見て、社長は少し気の抜けた顔に変わる。
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adg567(プロフ) - 2人を味方につけた社長は無敵ですね今後の展開も楽しみにしてます(^^)/ (2016年9月4日 20時) (携帯から) (レス) id: ae6ca517f2 (このIDを非表示/違反報告)
ミラノスカイ(プロフ) - adg567さん» やっと伝えました秘書さん〜( ; _ ; )物語に入り込んでくださって本当に嬉しいです( ; _ ; )楽しみにしていてくださいっご期待に添えるよう頑張ります! (2016年8月12日 17時) (レス) id: b640a89147 (このIDを非表示/違反報告)
ミラノスカイ(プロフ) - ゆいぴょんさん» ずっと読んでくださったんですか!!有り難き幸せ〜( ; _ ; )そうなんですやっと言いました!長かったです本当もう手のかかる秘書さん( ; _ ; )笑 応援ありがとうございますっ頑張ります☆ (2016年8月12日 17時) (レス) id: b640a89147 (このIDを非表示/違反報告)
adg567(プロフ) - わ〜!とうとう気持ち伝えちゃった(*≧m≦*)でもまだまだ安心できない感じですね!!続き楽しみにしてます♪ (2016年8月12日 11時) (携帯から) (レス) id: ae6ca517f2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいぴょん(プロフ) - この作品、ずっと読ませてもらってます!ついに!秘書さんがホントの気持ちを社長に伝えましたね!すごく切ないけどドキドキしてしまいました…!続きが気になるのでこれからも更新頑張ってください!応援してます!! (2016年8月12日 8時) (レス) id: ceaba55208 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミラノスカイ | 作成日時:2016年6月12日 19時