Lens.122 ページ2
・
包まれた手の温もりで頭が麻痺してしまいそうだ。
社長は、ズルイ。
見たことない、そんな顔。
反則だ。
変人で、何考えてるか分からなくて、
意地悪で、憎たらしく上がる口角が気に食わなくて、
色んなことに振り回されて、思わせぶりで、
感情はあまり表に出さなかったくせに、こういう時だけ、
………こういう時だけ、ずるい、…、
歪んだ社長の表情は俺にでも伝わる。
「逃げんなよ、」
「……、っ、しゃ、しゃちょ…」
「1人にすんな…、」
「…………、」
「散々部下に嫌われてきて信用無いことぐらい分かってる。そのくらいので傷つくくらい俺はやわじゃない。
けど、…
翔さんにそうされるのはすごく嫌だ。」
「っ、」
歪む、歪む、
もう悪かった視界がさらにぼやけて、
これ以上泣いたら、ダメだ。
ダメなのに、
「俺はね、俺はね翔さん、」
聞いちゃ、ダメだ。
以前に聞いた言葉と、重みが違う。
言う事を聞いてくれない涙腺は、壊れて、
ボロボロ零れる涙は、苦く笑った社長が拭ってくれる。
何を言われるか、分かってるから、辛い、
応えたいのに、応えられない、
傍にいたいのに、傍にいれない、
支えたいのに、支えられない、
触れたいのに、触れたらいけない、
社長の手は頬から落ちて、俺の腰に回って、引き寄せられる。
俺の手は、ダランと無気力に下を向いたまま。
「隣にいてよ、翔さん。
傍にいてよ、
ここに、いてよ。
俺のに……なってよ、」
あぁ、
「翔さん、」
耳を、塞げ、
「こっち見て。」
離された体。
目を、逸らせ、
逸らして、塞いで、見ちゃ、聞いちゃ、だめ。
それでも、言う事を聞いてくれない自分の体は、
社長を、見た。麻痺するような温もり。頭を占める声。
「好きだよ、翔さん。」
キリキリと、心臓が悲鳴をあげた。
「………っ、」
「今度は、ちゃんと告白だから。」
鼻が触れそうだった距離はさらに縮まって、
睫毛が触れそうな距離に。
この場にいてはいけないのに、逃げられなかったのは自分の所為だ。
これからの事を考えなくちゃいけないのに、考えられなかった。
押し潰されそうな想いに、
返事を待つ言葉に、何も言えなかった。
ただ俺が社長を好きなことに変わりはない。
576人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
adg567(プロフ) - 2人を味方につけた社長は無敵ですね今後の展開も楽しみにしてます(^^)/ (2016年9月4日 20時) (携帯から) (レス) id: ae6ca517f2 (このIDを非表示/違反報告)
ミラノスカイ(プロフ) - adg567さん» やっと伝えました秘書さん〜( ; _ ; )物語に入り込んでくださって本当に嬉しいです( ; _ ; )楽しみにしていてくださいっご期待に添えるよう頑張ります! (2016年8月12日 17時) (レス) id: b640a89147 (このIDを非表示/違反報告)
ミラノスカイ(プロフ) - ゆいぴょんさん» ずっと読んでくださったんですか!!有り難き幸せ〜( ; _ ; )そうなんですやっと言いました!長かったです本当もう手のかかる秘書さん( ; _ ; )笑 応援ありがとうございますっ頑張ります☆ (2016年8月12日 17時) (レス) id: b640a89147 (このIDを非表示/違反報告)
adg567(プロフ) - わ〜!とうとう気持ち伝えちゃった(*≧m≦*)でもまだまだ安心できない感じですね!!続き楽しみにしてます♪ (2016年8月12日 11時) (携帯から) (レス) id: ae6ca517f2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいぴょん(プロフ) - この作品、ずっと読ませてもらってます!ついに!秘書さんがホントの気持ちを社長に伝えましたね!すごく切ないけどドキドキしてしまいました…!続きが気になるのでこれからも更新頑張ってください!応援してます!! (2016年8月12日 8時) (レス) id: ceaba55208 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ミラノスカイ | 作成日時:2016年6月12日 19時