Lens.65 ページ5
・
言葉を失うとはこういうことか。
ぱくぱくと口は動くのに、言葉が出ることは無い。
「何も言えないんすね。肯定ってことっすか。やっぱりあの社長も顔が目当てで、」
「なにしてんの？」
聞き慣れた声。
その声に、完全に俺の思考はショートした。
生田の後ろに立つ社長と、ばち、と社長と目が合って、
あぁどうしよう、柄にも無く泣きそうで。
なんの思いで涙が出てくるのか分からないけれど、
もう、考えたくなくて。
ぎゅう、と自分のジャケットの裾を握りしめる。
「なに、お前。翔さんに何かした？」
「別に何も。」
「嘘付け。んじゃなんであんな顔してんの。」
顎でクイッとさされる。
「あぁ...社長に好かれている理由を教えてあげただけですよ。」
「......は？.....なんでお前がその理由とやらを知ってんの。」
「だってあからさまじゃないですか。櫻井さんを急に秘書にしたのも顔が良いからでしょ。男でもイケる顔してるからでしょ。」
ググッと社長の眉間にシワが寄る。
「で、なに。」
「....な、なにって、」
「それで何。そんなのが嘘か本当か分かんねぇくせに翔さんに言ってどうしたかったわけ。」
「ど、どうするもなにも俺はただ真実を、」
「真実？お前は俺の何を知ってるわけ。お前は俺のどこを見てそう思ったわけ。」
「っな、そんなの、」
「どうせそこらへんに転がってた噂の寄せ集めただけのミーハーだろ。」
社長は生田の目の前を通りぬけると、俺の腕を掴む。
「帰るよ。運転よろしく。」
「え、あ、...、」
「俺、顔で選ぶようなヤツじゃないんで、翔さん。」
「........、」
「俺にとって翔さんは特別だけど、違うから。俺は、翔さんだから、.....、」
チラ、と生田を見た社長は深いため息をついて。
「今ここで何を言っても言い訳にしか聞こえないってか。」
社長は一瞬悲しそうな顔を見せ、俺の腕を引いた。
「お前が誰か知らないですけど、翔さんに関わんないでくださいね。」
そう言って、スタスタ歩いて。引っ張られる俺の体。
「隠して翔さんが傷つくんなら俺全部話すから。」
怒った、機嫌の悪い声。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 417人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夢咲美森 - あけましておめでとうございますm(_ _)m新年早々面白かったです(^o^)チョードキドキしました(≧∀≦)また今年も更新頑張ってください(・ω・)ノ応援しています)^o^( (2017年1月13日 20時) (
レス) id: fccf25a126 (このIDを非表示/違反報告)
ミラノスカイ(プロフ) - お餅さんさん» 本当ありがとうございます！！( ; _ ; ) (2016年3月21日 2時) (レス) id: b640a89147 (このIDを非表示/違反報告)
ミラノスカイ(プロフ) - 櫻宮大好きさん» お待たせして申し訳ありません( ; _ ; ) (2016年3月21日 2時) (レス) id: b640a89147 (このIDを非表示/違反報告)
お餅さん(プロフ) - いや、この言葉を聞けて嬉しかったです!!私、ミラノスカイさんに並べるよう頑張ります!! (2016年3月17日 15時) (レス) id: 55f73a3cfe (このIDを非表示/違反報告)
櫻宮大好き - 続き、まだですか。楽しみにしています。 (2016年3月16日 23時) (レス) id: 7a5498f3c5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ミラノスカイ
| 作成日時：2016年1月17日 21時
