サヨナラ、またな[Fischer's マサイ] ページ40
今日、俺は高校を卒業する。
もっと長いと思っていたのに、すごく短くて、本当はまだ明日も授業があるんじゃないか、なんて思ってしまう。
｢おー、マサイ、おはよー｣
｢おはよ｣
いつも通り挨拶を交わすコイツらも、それぞれ違う道に進む。大喧嘩して先生に怒られて、馬鹿なことして笑い合ったのが懐かしい。
｢お前、何寂しそうな顔しちゃってんの｣
｢してねーよ、バカかお前｣
こんな風に背中を叩きあって笑い合える時間も、もう無いんだ。
ふと教室の真ん中の方を見ると、友人と談笑しているAちゃんがいた。ショートカットで、笑顔の似合う、めちゃくちゃ可愛い子。
｢Aさぁ、絶対卒業式で泣くよね｣
｢何言ってんの！泣かないから｣
｢去年、先輩が卒業するって時号泣だったじゃん｣
｢雰囲気で感動しちゃったの！｣
俺みたいな奴にも優しくしてくれて、本当にいい子で、ずっと好きだった。
結局、それも叶わず終わってしまう。
でも彼女が幸せでいてくれたら、それでいい。
それに、今となってはいい思い出だ。
｢あ、先生来た｣
ガラッとドアを開けて、担任が入ってきた。最後のホームルームが始まる。
…
クラスの雰囲気がいつもと全く違う。普段は騒がしいアイツも、おしゃべりな女子も、物静かな子も、皆の背中が寂しげに見えた。
もうすぐ、先生の話も終わる。あと少しだけでいいから、まだ皆と一緒にいたい。
｢なぁ、写真撮ろうぜ｣
そう言うと皆黒板の前にわらわらと集まってきた。カメラのタイマーをセットしてから、俺も列に入った。
ああ、まだ皆と笑っていたい。
カメラのシャッターが切れる音がする。
｢後で送ってね！｣
｢お、おう｣
Aちゃんが笑顔で言うものだから、思わず恥ずかしくなって目を背けてしまった。
｢じゃあなー、マサイ｣
｢じゃあな｣
帰り道、いつもの場所で友人と別れる。3年前は、別れの意味も何も分かっていなかった。
馬鹿みたいに騒いで、Aちゃんを横目で見て、アイツらにからかわれて、また変なことして笑いあって…そんな当たり前の日常が、明日からは無くなるんだ。
皆と、またいつか笑い合える時まで。
さよなら、またな。
ファーストキスはレモン味[東海 りょう]→←本当の気持ちは[東海 虫眼鏡]zawa-minaさん リク
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 79人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ねぎしお(プロフ) - zawa-minaさん» いつもリクエストありがとうございます！了解しました。遅くなってしまうとは思いますが、それまで少々お待ちいただければ幸いです (2018年3月7日 0時) (
レス) id: 78c68bbdf5 (このIDを非表示/違反報告)
zawa-mina(プロフ) - 自分の気持ちに気づく｡夢主と付き合う｡みたいなのお願いします！ (2018年3月4日 0時) (レス) id: 2d47d3844b (このIDを非表示/違反報告)
zawa-mina(プロフ) - ありがとうございました！またリクなんですが､彼女ありのざわくんが夢主に惚気話をしてざわくんのことが好きだった夢主は勢いで告白してしまう｡慌てて謝るがざわくんはその事で頭がいっぱいになりりょうくんに相談｡本当に好きなのは彼女なのか質問され (2018年3月4日 0時) (レス) id: 2d47d3844b (このIDを非表示/違反報告)
ねぎしお(プロフ) - 月夜さん» いつも本当にありがとうございます〜！了解しました！ (2018年2月24日 23時) (レス) id: 13b3492284 (このIDを非表示/違反報告)
月夜 - 面白かったです！またとしみつでとしみつには彼女がいるけど、夢主を好きになってしまい彼女と揉めながらも別れて夢主にアピールして付き合うようになゆお話お願いします。夢主は一般人で大人っぽい清楚系で。としみつに彼女がいることを知らない設定でお願いします。 (2018年2月19日 23時) (レス) id: 8724e14dbe (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ねぎしお | 作成日時：2018年1月2日 19時
