Happy Valentine's-Day[東海 りょう] ページ27
バレンタインが近づくと、高校生の時のことを思い出す。
幼馴染のりょうは当時からモテていた。背が高くて、爽やかで、かっこよくて…よく他の女子が話題にしていた。
最初は別に気にしていなかったが、段々もやもやとしてきた。
「ねぇねぇ、Aちゃんってさ、りょうくんの幼馴染なんだよね?」
「そうだけど…」
「りょうくんって、何か苦手なものあったりする?」
2月14日が近づいてくると、よくそんな質問をされた。知らないし、本人に勝手に聞けばいいじゃん、と思いつつも
「キノコ系が嫌いっていうの以外、あんまり聞いたことないよ」
とだけ答えた。
りょうには毎年なんとなくチョコをあげていたが、今年はいいや。色んな人が渡すみたいだし、高校でクラスが別になってあまり話さなくなったし。
そして、バレンタイン当日。
案の定りょうの周りには沢山の女の子が集まっていた。今年は用意しない、と決めたはずの私も、鞄の中には彼に渡すためのチョコが入っていた。
…
放課後になってようやく、りょうの周りから女の子がいなくなった。勇気を出してりょうの名前を呼ぶと、彼は嬉しそうに笑った(気がした)。
「なんか、二人だけで話すの久しぶりだね」
「…うん」
「そういえば、今年はAはチョコくれないの?」
素直に渡せばいいのに、私は少し不貞腐れていた。
「今年は、本当に好きな人に渡すの」
「ふーん、そうなんだ。渡せたの?」
「まだ…だってその人、女子からすっごい人気できっと今日もたくさんチョコもらってるし…りょうだってそうでしょ」
「いや、俺も今年は本当に好きな子だけから貰いたくて。用意してくれた子達には申し訳ないけど、チョコ苦手、って言って断った」
「ふーん…その人には貰えたの?」
「まだ」
「そっか」
きっとその人は可愛くて優しいのだろうと勝手に想像していた。
「その子、可愛くて笑顔が似合う子で、でも変に意地っ張りで鈍感な、今目の前にいる俺の幼馴染なんだけど、何故か今年はチョコくれないんだよね」
これは、期待してしまってもいいのだろうか。
「流石にここまで言えばわかるでしょ、俺の好きな子はAだって」
「…私もチョコ渡したい人、りょうだよ。受け取ってくれる…?」
「もちろん。ありがとう」
笑うと細くなる目。何度も見慣れてるはずなのに、今日はドキドキしてしまう。
「あ、ねぇ、A」
「何?」
「まだAから、好きって言葉聞いてない」
頬がかあっと熱くなった。
「……好き。」
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ねぎしお(プロフ) - zawa-minaさん» いつもリクエストありがとうございます!了解しました。遅くなってしまうとは思いますが、それまで少々お待ちいただければ幸いです (2018年3月7日 0時) (レス) id: 78c68bbdf5 (このIDを非表示/違反報告)
zawa-mina(プロフ) - 自分の気持ちに気づく。夢主と付き合う。みたいなのお願いします! (2018年3月4日 0時) (レス) id: 2d47d3844b (このIDを非表示/違反報告)
zawa-mina(プロフ) - ありがとうございました!またリクなんですが、彼女ありのざわくんが夢主に惚気話をしてざわくんのことが好きだった夢主は勢いで告白してしまう。慌てて謝るがざわくんはその事で頭がいっぱいになりりょうくんに相談。本当に好きなのは彼女なのか質問され (2018年3月4日 0時) (レス) id: 2d47d3844b (このIDを非表示/違反報告)
ねぎしお(プロフ) - 月夜さん» いつも本当にありがとうございます〜!了解しました! (2018年2月24日 23時) (レス) id: 13b3492284 (このIDを非表示/違反報告)
月夜 - 面白かったです!またとしみつでとしみつには彼女がいるけど、夢主を好きになってしまい彼女と揉めながらも別れて夢主にアピールして付き合うようになゆお話お願いします。夢主は一般人で大人っぽい清楚系で。としみつに彼女がいることを知らない設定でお願いします。 (2018年2月19日 23時) (レス) id: 8724e14dbe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ねぎしお | 作成日時:2018年1月2日 19時