私の継子【伊黒小芭内】 (ページ43)

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分かった、そう言ってAの羽織を持って洗面所へと行く。

あの人はこんなに汚れても使うのか……

Aの羽織をよくみると血が染み込んだ後のようなのがうっすらと残っていた。
近くで見ないと分からないくらい薄い。

しかも縫ったあとがちらほらと確認出来る。
随分と使って居るんだろう。

思えばあの人は、やけに裁縫が上手かった。
今の羽織を買ってもらう前には良く、破れた所なんかを直して貰っていたが毎回綺麗に塗ってくれていた。

そんな事を考えながら洗面所に着いて、洗濯物を入れるカゴに放り込む。
すると放り込んだ羽織の所に刺繍され、何か文字のようなものがあった。

これは？と思い、放り込んだ羽織を持って近くで見てみるとそこには「メイ」という誰かの名前が縫い付けられていた。

メイ……？

そういえば前にあの人がこんなことを言っていた。

「この羽織はね、私の大切な人のものなんだ」
「だから、結構使い込んでるやつでね。任務で破れた時なんかは直したりしてるから、裁縫が気付いたら得意になってたんだ。」

前に聞いたことがあったその大切な奴というのが「メイ」という名前の人物なのか。

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羽織をカゴに戻して縁側に行くと、Aが
さっき置いた竹刀を見ていた。

片付けるのをすっかり忘れていた