その日は ページ48
「やっと帰れるー」
休憩室のソファにぐだーって倒れるテヒョンくん。
だらーんって伸びた姿が可愛くて、ふふって頬が緩む。
いつもテヒョンくんは
「女の子は中で着替えてね〜」
って更衣室を譲ってくれる。
まぁ、男の子だから単純に気にしないだけなのかもしれないけど。
でも、
もう一人のたまにシフトが被る高校生の男の子はそんな気遣ってくれないからやっぱテヒョンくんは出来た子だと思う。
それも凄いのが、私にだけじゃなくて
昼間に入ってる主婦のおばさんにも同じ事言って、デレデレにさせてるんだから
テヒョンくんはきっとヌナキラーならぬマダムキラーなのかも、なんて最近ひっそり思ってる。
ユニフォームを脱いで私服に着替える。
少し身だしなみを整えてから、更衣室を出ればテヒョンくんはスマホに視線を向けてた。
「おまたせ」
「ぜんぜんっ!」
立ち上がってニッて笑いかけてくる。
これもいつものこと。
可愛いよなー…
テヒョンくんといると
自然と口角があがっちゃう。
「Aちゃん?」
「…あ、ううん。行こっか」
「?…うん!」
なんでもないよって示してから
誤魔化すようにテヒョン君を促した。
外に出れば、虫の賑やかな鳴き声がどこからか聞こえてくる。
「これ、何の虫かな?」
「うーん。キリギリス?」
なんて、わからないけど
何となくキリギリスかなって思っただけ。
「Aちゃん、虫に詳しいの?」
「ごめん、適当です」
「へへ、だと思った」
相変わらず、静かな道を駅まで歩く私たち。
「あとで調べてあげるよ」
「どーやって?」
「あー…YouTuberとかでさ、『夏 夜 虫の鳴き声』みたいな感じでググれば出てきそうじゃない?」
「おー、Aちゃん頭いい!」
キラキラした瞳を向けられて
いや、皆が辿り着きそうな考えだけど…
って思ったけどテヒョンくんに褒められて悪い気はしないよね。
少し嬉しくなる心をそっと夜の闇に隠した。
だんだんと駅が近くなって
喧騒も大きくなって
人工の灯りに目が眩んだ。
「じゃ、テヒョンくん。お疲れ様」
「うん!お疲れ」
手をあげるテヒョンくんに
軽く手を降ってから、背を向けようとしたら
「あ、待って」
ふいに腕を掴まれて、目の前にはテヒョンくんの綺麗な顔。
「あのさ、Aちゃん」
「…?」
「9月1日なんだけどさ…」
私の頭の中はすぐにあの人で埋め尽くされる。
その日はジョングクの誕生日だ。
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うに(プロフ) - 続編が読みたいです( ; ; ) (5月7日 16時) (レス) id: fc966db95f (このIDを非表示/違反報告)
あ(プロフ) - これ続き消しましたか? (2020年8月4日 2時) (レス) id: 3dd0ee7796 (このIDを非表示/違反報告)
zin(プロフ) - 上手くいかない、もどかしい、哀しい、辛い……。本当に切ないです。でも お話に出てくる子達が主人公をはじめ、みんなイイ子で魅力的です。ミンギュ君 テヒョン君、ナイスです!やっぱり私は胸が痛くなるけど 切ないお話が大好きみたいです^^ 更新楽しみにしています。 (2017年11月4日 1時) (レス) id: f535f69715 (このIDを非表示/違反報告)
いっちゃん - ミンギュ出てきた!ちょー嬉しい!!テテの「月が綺麗ですね」って言うのに凄くキュンキュンした!でもそれに「それ言われたら、死んでもいいって返すんだよね。」って言った主人公に一瞬、戸惑ったわww作者さいこーww (2017年11月3日 22時) (レス) id: 3d31ebd9bc (このIDを非表示/違反報告)
めぐ(プロフ) - オトコトモダチが1番大好きで更新されるの楽しみにしてます! (2017年11月3日 6時) (レス) id: 4dbcce6e2c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:豆乳 | 作成日時:2017年7月2日 20時