後悔先に立たず ページ31
お腹を満たした私たちはそのまま講義室へと向かう。
フラフラと私についてくるテヒョン君を気にしつつ講義室に入る。
時間も時間で既に多くの学生たちに良席を占有されていて、仕方がないから前の方の空いてる席にテヒョン君と並んで腰を下ろす。
私はそれとなく教室内を見渡す。
「どったの?」
隣から聞こえてきたテヒョン君の声。
「え?」
「誰か探してる?」
「あ、ううん」
しまったと思った。
いつもの癖でジョングクを探してしまっていた。
私は慌てて別の話題を振る。
「てかね、この授業ほんとにつまんないの」
「え、そーなの?」
「うん、退屈すぎて後半みんな爆睡(笑)」
「じゃあ、俺は眠くなったらAちゃんにちょっかい出すね」
「えー、やめてよ」
2人で話し込んでいたら、いつの間にか教壇には教授の姿があって、テヒョン君の肩を軽く叩いた。
それなりに真面目に授業を受けつつ、横目でテヒョン君を見る。
綺麗な横顔は板板をじーっと見つめてるけど、その口はあんぐりと半分開いている。
こりゃ絶対聞いてない。
テヒョン君は私の視線に気づいたのかこちらを見て思いついたような顔。
嫌な予感しかない。
思った通り、彼は私のペンを手に持ってルーズリーフに何やら落書きを始める。
しばらくその線の流れを観察していれば、ふわっと私の鼻孔をくすぐる美容院帰りの特有の香り。
そうしてテヒョン君との距離が近いことをはじめて意識した。
その気持ちを誤魔化すように、老年の教授の声に意識を集中させていればスマホが光る。
机の下でスマホを確認すればそれはジアからだった。
【隣のアイドルみたいなイケメン誰?】
【至急返信】
そして次に届いた画像はまさに今現在の私とテヒョン君の後姿。
勢いよく後ろへ振り返れば、同じ列の後ろにジアの姿が確認できた。
目が合えば口パクで何か言ってくるけど全く理解できなかったら適当に頷いた。
その時、ふいに視線を感じて私の目は無意識に動いた。
あ。
授業中だという事を忘れて出そうになった声。
頬杖をついて気怠そうにしたジョングクと視線が重なる。
小さく動いた唇が私に『バーカ』と言えば、途端に、脳内に鮮明に流れる昨日の記憶。
私は思わずグクから目を逸らして正面を向く。
相変わらず私のノートにへんてこりんな落書きしているテヒョン君を見ながら、指は無意識に唇をなぞった。
そうして私は昨日の馬鹿な自分を呪った。
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うに(プロフ) - 続編が読みたいです( ; ; ) (5月7日 16時) (レス) id: fc966db95f (このIDを非表示/違反報告)
あ(プロフ) - これ続き消しましたか? (2020年8月4日 2時) (レス) id: 3dd0ee7796 (このIDを非表示/違反報告)
zin(プロフ) - 上手くいかない、もどかしい、哀しい、辛い……。本当に切ないです。でも お話に出てくる子達が主人公をはじめ、みんなイイ子で魅力的です。ミンギュ君 テヒョン君、ナイスです!やっぱり私は胸が痛くなるけど 切ないお話が大好きみたいです^^ 更新楽しみにしています。 (2017年11月4日 1時) (レス) id: f535f69715 (このIDを非表示/違反報告)
いっちゃん - ミンギュ出てきた!ちょー嬉しい!!テテの「月が綺麗ですね」って言うのに凄くキュンキュンした!でもそれに「それ言われたら、死んでもいいって返すんだよね。」って言った主人公に一瞬、戸惑ったわww作者さいこーww (2017年11月3日 22時) (レス) id: 3d31ebd9bc (このIDを非表示/違反報告)
めぐ(プロフ) - オトコトモダチが1番大好きで更新されるの楽しみにしてます! (2017年11月3日 6時) (レス) id: 4dbcce6e2c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:豆乳 | 作成日時:2017年7月2日 20時