それは白昼夢のような ページ18
*
発車のアナウンスが鳴り響くのをよそに、急いで車内に乗り込んだ。
座席は空いていたけれど、私たちは事前に決めていたかのように向かい合ってドア脇に寄りかかる。
こういうところ、私たちはきっとよく似ている。
「どんくらいかかる？」
「んー、20分ぐらいかな？」
私の言葉に小さく頷いたジョングクは、無駄に音質の良さそうなイヤホンを耳に差し込むと腕を前で組んで眠るように目を閉じた。
動き出した電車と、流れる街並み。
もうひとつは2人を距てる距離。
触れられそうで、触れられない。
ドア一つ分のこの距離が超えられない。
それは、初めてあなたと言葉を交わしたあの日からむしろ一歩ずつ遠ざかっているような気さえした。
規則正しく揺れる車内の中で私はそっと瞼を下ろした。
大学の最寄りから急行に乗って20分ばかりだろうか。
進学を機にこの街で一人暮らしをはじめた。
そこまで栄えてるわけではないけれど、駅の周辺には商業施設が適度に立ち並んでいて都心に出ずともそれなりに欲しいものは揃ってしまうようなそんな街。
そして、路線と平行するようにして続いていくサイクリングロード。
道を囲うようにして生い茂る灌木、公園には存在感のある東屋。
私はこの街を見た瞬間、ここに住もうと迷いなく決断した。
大学生活は何かを変えてくれる、そんな根拠のない期待をあの頃の私は抱いていた。
入学式の日、サークルの勧誘に捕まった私の手を取ってくれたジョングクに何度目か分からない感情を抱いて。
あの日の馬鹿な私はやっぱり何かが変わると信じて疑わなかったんだ。
２人してサークルに入らなかったせいで友達作りに見事に乗り遅れた私たちは、昼食を一緒に取っていた時期があった。
まあ、後日談としては一か月もすればお互い気の合う友人を見つけて即解散となったんだけど。
なるべく騒がしくない席を選んで、向かい合って座って。
そうして、食べてる間はお互いが無言だった。
その空気感が心地よくて、私はその度にこの人が好きだと思った。
あの日もそうやって昼食を取っていた。
グクはカツカレー。私も真似するようにカレー。
私の持っているお盆を見て、「あ、真似した」なんて彼は子供っぽく笑った。
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あ(プロフ) - これ続き消しましたか？ (2020年8月4日 2時) (
レス) id: 3dd0ee7796 (このIDを非表示/違反報告)
zin(プロフ) - 上手くいかない、もどかしい、哀しい、辛い……。本当に切ないです。でも お話に出てくる子達が主人公をはじめ、みんなイイ子で魅力的です。ミンギュ君 テヒョン君、ナイスです！やっぱり私は胸が痛くなるけど 切ないお話が大好きみたいです^^ 更新楽しみにしています。 (2017年11月4日 1時) (レス) id: f535f69715 (このIDを非表示/違反報告)
いっちゃん - ミンギュ出てきた！ちょー嬉しい！！テテの「月が綺麗ですね」って言うのに凄くキュンキュンした！でもそれに「それ言われたら、死んでもいいって返すんだよね。」って言った主人公に一瞬、戸惑ったわww作者さいこーww (2017年11月3日 22時) (レス) id: 3d31ebd9bc (このIDを非表示/違反報告)
めぐ(プロフ) - オトコトモダチが1番大好きで更新されるの楽しみにしてます！ (2017年11月3日 6時) (レス) id: 4dbcce6e2c (このIDを非表示/違反報告)
マル - ヤバイです！めちゃくちゃキュンキュンします！2人の関係性が羨ましすぎで夜中にキュンキュンしてしまいました(^_^)更新楽しみにしてます！ (2017年10月28日 2時) (レス) id: 9861427ca3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：豆乳 | 作成日時：2017年7月2日 20時
