観察の成果 ページ17
９０分間の長い授業が終わると、素早く立ち上がり誰よりも早く広い講堂を後にした。
急いでトイレに駆け込んでお気に入りのリップを塗り直して身なりをチェック。
鏡に映る私は初デートを前に少しの緊張と期待で浮かれている高校生のようで、なんだかむず痒くなった。
【正門のとこのベンチで待ってる】と授業中届いたライン。
指定されたその場所を目指して否が応でも速くなる足。
そんなに急いでも逃げないのに、そう誰かに言われているような気がしたけれど足を緩めることは出来なかった。
まばらに歩く学生たちの間を抜けるように通りを抜けて正門を目指す。
立派な樹木の下には幾つかのベンチ。
幾人ばかりかが腰をおろしている中で、身を屈める様にしてスマホを弄るグクの姿を見つける。
相変わらず帽子を被ったままで、鼻炎のせいか何度も鼻の頭をこする姿が微笑ましい。
そんな彼を観察するように足を止めて眺めていたら、突然パッと顔を上げたグクと目が合って私はなんとなく曖昧に笑って見せた。
「来たんなら早く声かけてよ」
「ごめん、なんか観察しちゃってた」
「ふーん。・・・何か成果はあった？」
歯を見せてちょっと楽しそうに聞いてくる。
うーん、と考えるようにして思ったことを並べてみる。
「腰曲がりすぎで痛めそう。あと、鼻炎がつらそう・・・。」
「うん、うん。当たってる(笑)」
「あとは、これ」
私は歩きながらグクの被っている帽子に指を指す。
「これ？」
「・・・印象悪くみえる」
「そうかー？これイケてるっしょ？」
そう言って、ふざけたように私に同意を求めてくる。
勿論、イケてます。イケてますけども。
「うーん。でも、私は帽子被ってない方が好き」
無意識に呟いた言葉にしまったと思う。
そんな気これっぽちもなかったのに、間接的に告白をしたような気持になって内側からどんどん熱くなるのを嫌でも感じる。
「・・・俺、結構キャップ好きなんだけど」
「や、でもそれはそれで似合ってる」
「フフ、どっちかにしろよ(笑)」
あ、よかった。
グクは全然気にしてないみたい。
そうホッとする気持ちと同時に少しばかりの寂しい気持ちに襲われて、自分はなんて面倒くさい生き物なんだろうと真面目に思う。
２人で他愛もない会話をしながらメインストリートを抜けて、駅に辿り着く。
普段ならここでお別れ。でも今日は違う。
改札を先に抜けた彼の背中に胸が鳴る。
今日は、違うんだ。
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うに(プロフ) - 続編が読みたいです（ ; ; ） (5月7日 16時) (
レス) id: fc966db95f (このIDを非表示/違反報告)
あ(プロフ) - これ続き消しましたか？ (2020年8月4日 2時) (レス) id: 3dd0ee7796 (このIDを非表示/違反報告)
zin(プロフ) - 上手くいかない、もどかしい、哀しい、辛い……。本当に切ないです。でも お話に出てくる子達が主人公をはじめ、みんなイイ子で魅力的です。ミンギュ君 テヒョン君、ナイスです！やっぱり私は胸が痛くなるけど 切ないお話が大好きみたいです^^ 更新楽しみにしています。 (2017年11月4日 1時) (レス) id: f535f69715 (このIDを非表示/違反報告)
いっちゃん - ミンギュ出てきた！ちょー嬉しい！！テテの「月が綺麗ですね」って言うのに凄くキュンキュンした！でもそれに「それ言われたら、死んでもいいって返すんだよね。」って言った主人公に一瞬、戸惑ったわww作者さいこーww (2017年11月3日 22時) (レス) id: 3d31ebd9bc (このIDを非表示/違反報告)
めぐ(プロフ) - オトコトモダチが1番大好きで更新されるの楽しみにしてます！ (2017年11月3日 6時) (レス) id: 4dbcce6e2c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：豆乳 | 作成日時：2017年7月2日 20時
