オトコトモダチ。 【JK】

らしくない ページ33

お菓子から意識を離して、再びグクを下から見つめる。



「昨日、相当酔ってたけど」

「...反省してる」


渋い顔して言った声は相変わらずガラガラで


「声、大丈夫？」

「いや、初めて。こんなんなったの」

「ウケんだけど(笑)」



ケラケラ笑えば薄めで睨まれる。

全然怖くないけど。



「あ、そうそう。酔っ払いジョングクの動画撮っちゃった」

「は？」

「あとで送ろうか？」

「フツーにいらない。てか、消しとけよ」

「どうしよっかなー。ほんと笑えたから、あれ」



からかってみせれば、グクは「勝手にしろよ」って呆れた顔してくる。



大丈夫。

ちゃんと、話せてる。

いつも通りだ。



いつも以上にトクトクと嫌な音を立てる心臓を知らんぷりする。



隣で未だに眠るテヒョン君。

その寝顔を見ながら続ける。



「片付けてくれてありがとね」

「ん？」

「ゴミとか色々」



グクは「あぁ...」と思い出したように頷く。



「んなの当たり前じゃん」

「...そーかな」

「うん」



...当たり前じゃないよ。

そんなことやってくれる男の子なんてそうそういないって。



私、そーいうグクのところすっごい好きなんだ。



胸の奥で呟いた気持ちに

気付いてくれるはずもなくて。



しばらく私たちの間に流れた沈黙。



そんな空気の中で、手持無沙汰に指と指をスリスリと擦る。




...テヒョン君、早く起きてよ。



堪え切れなくなって

テヒョン君の肩を揺すろうとしたとき



「A」



私の名前を呼んだグクの瞳は何か言いたげで

後頭部を何度も指で掻くような仕草をする。



「...何？」

「いや、さ」



少し落ち着きのない姿は、なんだからしくない。



何を言われるんだろうと不安になる。



「...昨日さ」

「うん」



その口が開きかけた時



「ふあー」



隣でむくりと起きたテヒョン君。

彼は上に向かって大きく背伸びをする。



グクが言いかけた「何か」は

テヒョン君によって遮られてしまった。



テヒョン君は長机の前に立っているグクの顔を

寝起きの瞳でジッと見つめる。



「こんちは！」



ニヒッて効果音が出そうな笑顔でグクに笑いかけたテヒョン君。

お返しに軽く会釈するグク。



「あー、よく寝たー」


「あ」



ニヒッと笑顔を向けて来るテヒョン君。



「おはよ、ヌナ」



そのほっぺたには木目の跡がくっきりとついていた。

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