お酒のせい ページ26
*
「ね、ちょっと酔っ払い！！」
バンバンとグクの大きな背中をもう片方の手で叩けば「痛い、あ、やっぱ痛くない」なんてずーっとヘラヘラしてる。
「撫でて」
「は？」
「頭、撫でられんの好き」
下から覗き込むような瞳は妙な艶めかしさを帯びていて、ギュッと心臓が掴まれるようなおかしな感覚に襲われた。
私は掴まれていた腕をそのまま彼の頭に持って行く。
柔らかい感触を確かめるように指先で撫でれば目を閉じて口元を緩めた彼。
「落ち着く」
「私はお母さんですか？」
「フフッ...Aがお母さんフフッ」
「何が面白いの？気持ち悪いな」
「いや、フフッ」
その気持ちよさそうな顔を見ていたら、テーブルに零れたビールの存在なんてどうでもよくなってしまった。
「...てかさー」
なんとなくの手持無沙汰で彼の頭は撫で続ける。
時折、目を細める仕草はより彼をウサギに近づけさせた。
「...人のさーカノジョにさー、キスマークとか普通つけるかなー？」
『カノジョ』彼の口から出たそのワードに私の中の熱が急激に冷めていき、撫でていた指の動きは指令を出されたように止まる。
そんな自分の馬鹿みたいな素直な反応に泣きたくなる。
けれど、それもこれも全部望んだのは自分。
彼はベラベラと酔いに任せて本音を漏らす。
「オレのことぜってー馬鹿にしてる。年下だからってさ」
「...うん」
「二人して馬鹿にしてんだよ」
「うん」
「あのクソ店長絶対許さない」
「うん」
ジョングク、口悪いよ。
「俺のが絶対かっこいいのに」
「うん」
「俺のが絶対幸せにできるし」
「うん」
「俺のが...ずっと好きなのに」
彼の本音。
ずっと聴きたくて、でも聴きたくなかった想い。
「グクはさ」
「...」
「ほんとに好きなんだね」
喉から絞り出した声はカラッカラに乾いていた。
「...はじめて」
「ん？」
「後にも先にも...こんなに好きになんの多分アイツしかいない」
その声色に本気だと思った。
私じゃダメなんだと思った。
しばらくして静まり返った部屋には愛しい人の寝息。
馬鹿だな、私。
こんなんかなうわけないじゃん。
「ほんと、バカ」
鼻の奥がツーンとして、視界が滲んだ。
もう、いいや。
今日だけは、アルコールのせいにしてしまおう。
規則正しくリズムを刻むその口元に、私はそっと誰にも気づかれないように唇を重ねた。
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うに(プロフ) - 続編が読みたいです（ ; ; ） (5月7日 16時) (
レス) id: fc966db95f (このIDを非表示/違反報告)
あ(プロフ) - これ続き消しましたか？ (2020年8月4日 2時) (レス) id: 3dd0ee7796 (このIDを非表示/違反報告)
zin(プロフ) - 上手くいかない、もどかしい、哀しい、辛い……。本当に切ないです。でも お話に出てくる子達が主人公をはじめ、みんなイイ子で魅力的です。ミンギュ君 テヒョン君、ナイスです！やっぱり私は胸が痛くなるけど 切ないお話が大好きみたいです^^ 更新楽しみにしています。 (2017年11月4日 1時) (レス) id: f535f69715 (このIDを非表示/違反報告)
いっちゃん - ミンギュ出てきた！ちょー嬉しい！！テテの「月が綺麗ですね」って言うのに凄くキュンキュンした！でもそれに「それ言われたら、死んでもいいって返すんだよね。」って言った主人公に一瞬、戸惑ったわww作者さいこーww (2017年11月3日 22時) (レス) id: 3d31ebd9bc (このIDを非表示/違反報告)
めぐ(プロフ) - オトコトモダチが1番大好きで更新されるの楽しみにしてます！ (2017年11月3日 6時) (レス) id: 4dbcce6e2c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：豆乳 | 作成日時：2017年7月2日 20時
