ジュウイチ! ページ12
ピィーーーーーーッ
ついに試合が始まった。
"守り専門"
その意味はすぐにわかった。
夕は、ブロックやアタックといった攻撃には、一切参加しない。
その代わり相手のボールをひたすら拾う。
あんなに下手くそだったレシーブも、
あのチーム、いやここにいる人の中で1番うまいと感じた。
とにかく、夕がかっこよかった。
どんな強い攻撃も、
拾いにくいボールも、
とにかく拾う、拾う、拾う…!
試合が終わった後の私は興奮状態だった。
"A一緒にバレーやろうぜ!"
いつか夕に言われた言葉が私の背中を押した。
「お母さん!私も…私もバレーやりたい!
夕みたいになりたい!」
急に大きい声を出した私に、母はとても驚いていたが、すぐ頷いた。
「うんうん。夕くんがいれば安心ね。いいわよ、」
すぐに私はバレー教室に入会した。
私も夕みたいになるんだ!
早く夕に追いつくんだ!!
その気持ちで毎日毎日練習をした。
それがいつか限界を迎えることになるなんて知らずに。
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作者名:とまと | 作成日時:2022年9月19日 1時