The Best【短編集】

キセキの話4 ページ4

side.SHO



バタバタと雅紀が家を出て行くと、一気に静かになる。


「…ふぅ」


一つ溜息が溢れ、食器を片付けるためキッチンに向かう。


やっちゃったな…と、反省。

また、雅紀に余計な迷惑かけた。

あんなちょっとの事で不安になるなんて、面倒くさがられて当然だ。

雅紀は優しいからそんなこと言わないけれど。


「…よし、切り替えよ」


やることはたくさんある。

皿洗いに、洗濯に、掃除に、仕事。

作家をしている俺は外で仕事する事は滅多に無いけど、有難いことに仕事がたくさん舞い込んできて、時期によっては寝る間も無くなる。

忙しくてもやっていけるのは、雅紀が帰ってきてくれるから。


ただいま、愛してるよって、笑ってくれるから。

俺はもう、雅紀がいないと生きていけない。


食器を洗いながらふとテレビを見ると、今度は生まれたばかりの赤ちゃんの映像が流れていた。

かわいいな、思わず頰が緩んじゃう。


「子供、か…」


もし、奇跡が起こるなら、子供が欲しいな。


「…なんちゃって」


窓から覗く青空で、神様が笑っいる気がした。

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