The Best【短編集】

キセキの話【MS】1 ページ1

side.MASAKI



「まーさーきー、朝だぞ！」
「んー…あと5分…」
「それもう3回目！」


おりゃー、と、布団を引っぺがされる。

仕方なく重い瞼を持ち上げると、天使の笑顔が目の前に現れた。


「やっと起きた！おはよ、まさき」
「…おはよ、マイエンジェル…」
「ちょっ、何言ってんのバカ！寝ぼけんな！」


ふざけてチューしようとすると、頭をパシンと叩かれる。

照れ屋な恋人だ。


「早く食べないと朝ごはん冷めちゃうよ！」
「翔ちゃんの料理は冷めてても美味しいけどね」
「…ったく、そんなことばっか！遅刻しても知らないからな！」


あー、照れてちゃって可愛いなぁ。

頰をプクッと膨らませて顔を赤らめる翔ちゃんの可愛さは、その辺の女の子なんて目じゃない。

本人に自覚が無いのが心配なくらいだ。

殺人級に爽やかな笑顔も照れた赤顔も、考える時に唇を触る色っぽい癖も、誰にでも振りまく無防備さ。

どれだけ注意しても、びっくりするほど鈍感な彼はなんで？と不思議そうな顔をするのみ。
旦那としては気が気じゃないよ翔ちゃん…。


なんて考えながらスーツに着替え、洗面所に向かい顔を洗って歯を磨く。

さあ、愛する妻の作った朝食を食そう。


ダイニングでテレビを見ながら俺を待っていた翔ちゃんにキスをして、愛のこもったトーストにバターを塗った。

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