ゼリー ページ8
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「…あの、松本？」
「俺もそのいろんな人の一人。ちょっとでいいからさ、食えるだけ食ったらあと食べてやるから」
「おまえ、先生みたいなこと言うな…」
しゃあねぇな、と苦笑まじりに身体を起こす櫻井を支え、ゼリーを持たせる。
ありがと、と短く礼をいい、少しずつミカンの入ったゼリーを食べだした櫻井はなんだか一生懸命で可愛らしかった。
しかし、半分くらい食べたところでスプーンを置いてしまう。
「…松本ぉ」
「ん？」
「もういい…」
「ん、半分食えたじゃん」
中身をよく見るとたっぷり入っていたミカンは全て綺麗に取り除かれており、残っていたのは薄いオレンジ色のゼリーだけだった。
形の崩れたそれも、まったく汚いと思うことなくぺろりと完食する。
空になったゼリーのカップをゴミ袋に片付け、やる事が無くなった俺はなんとなく再び毛布にくるまった櫻井を眺めていた。
なにか話すべきかと話題を探すうちに、突然ガラリとドアが開く。
その音に驚いて肩をビクッとさせた櫻井は、やはりなんだか可愛いと思った。
「おーい翔くーん、ちゃんと寝てるかー？」
腑抜けたようなこの声は、ウチの保健医独特のもの。
いつも眠そうな大野養護教諭は、保健室の名物的存在だった。
安っぽいスリッパをペタペタ鳴らし、大野は俺たちの方に近づいてくる。
「あ！おいコラ松本！オメェ翔くんにちょかいかけてんじゃねぇよ！」
俺を見るなり声を荒げる大野に、小さく舌打ちを零した。
「ダメだよ大野センセ、松本お腹痛いんだから」
「ウソつけバーカ、オメェ話し相手欲しいだけだろ」
そう言って軽くコツンと櫻井を小突いた大野は、ゼリーのゴミを見るなりころっと表情を変える。
「翔くん、これ食べたのか？」
「食ったよ、半分くらい」
「お、スゲェじゃん！ぜってー手付けてないと思った」
「そのつもりだったけど…松本が食えって言うから」
なっ、と満面のドヤ顔でこちらを向かれ、思わず吹き出しそうになる。
ゼリー半分食っただけでこんなに自慢げな奴、初めて見た。
それから俺達は、次の授業が始まるまでずっと話していた。
ニノ以外のやつとこんなに話したのは、高校では初めてのことだ。
ただ、何故かコイツには、櫻井には、自然と人に心を開かせる、そんな力があるように思えた。
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おパンツマン(プロフ) - 晴一さん» ありがとうございます！２人の絶妙な距離感を感じ取ってもらえてうれしいです！（＾ω＾）ぜひ最後までお付き合い下さい！ (2015年4月5日 21時) (
レス) id: d7682a8cba (このIDを非表示/違反報告)
晴一(プロフ) - 初めまして晴一と申します(○´∀｀)トラウマを抱えた潤くんの優しさと前に進ませたい翔くん・・少しずつ縮まってく距離が丁寧に描かれててステキです･(つд`｡)･｡E.Tって・・（笑 (2015年4月5日 21時) (レス) id: 5dc01be9b4 (このIDを非表示/違反報告)
いちごぱんつ(プロフ) - arashisho2000さん» ありがとうございます！！初コメントすごく嬉しいです！（＾ω＾）ぜひ最後までお付き合いください！ (2015年4月4日 16時) (レス) id: 809e8ec63c (このIDを非表示/違反報告)
arashisho2000(プロフ) - この小説面白いです(*´ω｀*)これからもがんばってください (2015年4月4日 14時) (レス) id: 45272fac90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いちごぱんつ
| 作成日時：2015年3月31日 19時
