飲み込む ページ46
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「ん…、ふぅ…っ」
洗い物が終わって、ソファの側に座りスマホゲームをしていた時、櫻井が急に身体を起こした。
「ん…どうした?」
ケータイから目を上げると、真っ青な顔色の櫻井がぐったりと座り込んでいるのが見える。
眉間には微妙に皺が寄っていて、何となく口元にも力が入っていた。
「どした…気分悪いか?」
櫻井は、フルフルと力なく首を横に振る。
行動と顔が一致してねえっての…
俺は、櫻井が起き上がったことにより空いた櫻井の隣に腰掛けた。
見れば見るほど、具合が悪そうだ。
スマホのゲームをセーブもせずに閉じ、櫻井の首筋に手を触れる。
少し、熱が上がったかも。
「櫻井…大丈夫か?」
コクン。
今度は、首を縦に振る。
嘘コケ、と、言おうとした時、櫻井は、急に口に手を押し付けた。
同時に、背中がビクンと大きく痙攣する。
「あっちょ、おい…っ」
俺は咄嗟にこれまた高級そうなゴミ箱を引っつかんで櫻井に差し出した。
櫻井の目に大粒の涙が溜まり、背中が大きく波打つ。
ゴミ箱はセットした。
それなのに、何故か櫻井は、口元を押さえる手を、離そうとはしない。
「おい…っ、吐けって…」
思わず、そう言った。
しかし櫻井は、断固として首を横に振るのだ。
「吐けってば…っ、苦しいだろうが!」
首を振る。
そんな抗争が続く間に、いきなり櫻井は目を見開き、頰が風船のようにパンパンに膨らんだ。
「あっバカ…!」
早く吐き出せ…っ
俺は懸命に波打つ背中を摩る。
なのに櫻井は、それを飲み込もうと、ゴクゴクと喉を鳴らした。
「何やってんだ…っ、飲むな!出せバカ!」
ゴックン。
ついに、櫻井の�茲が元の大きさに戻り、心底疲れたように、彼は、はぁぁと息を吐いた。
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おパンツマン(プロフ) - 晴一さん» ありがとうございます!2人の絶妙な距離感を感じ取ってもらえてうれしいです!(^ω^)ぜひ最後までお付き合い下さい! (2015年4月5日 21時) (レス) id: d7682a8cba (このIDを非表示/違反報告)
晴一(プロフ) - 初めまして晴一と申します(○´∀`)トラウマを抱えた潤くんの優しさと前に進ませたい翔くん・・少しずつ縮まってく距離が丁寧に描かれててステキです・(つд`。)・。E.Tって・・(笑 (2015年4月5日 21時) (レス) id: 5dc01be9b4 (このIDを非表示/違反報告)
いちごぱんつ(プロフ) - arashisho2000さん» ありがとうございます!!初コメントすごく嬉しいです!(^ω^)ぜひ最後までお付き合いください! (2015年4月4日 16時) (レス) id: 809e8ec63c (このIDを非表示/違反報告)
arashisho2000(プロフ) - この小説面白いです(*´ω`*)これからもがんばってください (2015年4月4日 14時) (レス) id: 45272fac90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いちごぱんつ | 作成日時:2015年3月31日 19時