屋上 ページ22
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うちのクラスの準決勝までは、まだ時間がある。
俺はその間、なんとなく屋上に向かった。
ここからはグラウンドが丸見えで、皮肉にもサッカーの試合が見物できた。
「サッカーサッカー…、あんな球遊びの何がいいんだか」
「全く。みーんな熱くなっちゃって」
独り言のつもりで呟いた言葉に返事が返ってきて、俺はゆっくり振り返る。
そんなに驚かなかったのは、多分声の主が誰だかすぐに分かったからだ。
長袖の体操服を女子のように指先まで伸ばしたニノは、屋上の扉に寄りかかってこっちに手を振っていた。
「ニノ、お前の口の軽さにはつくづく呆れたぞ」
「なんの事？」
ニノは、わざと大袈裟に白を切りながら俺の横にやって来る。
あくまで口止めはされていないと、そうゆうスタンスなのだろう。
もしかしたら、こいつは斗真のことも知っていたのかもしれないな。
全く、頭が切れるもんだから困る。
「櫻井に説教された」
「へぇ、さすが翔ちゃんだね」
相変わらず、こいつの翔ちゃんという呼び方には慣れない。
「そういやお前、試合はいいのかよ？」
「卓球一回戦負け。あとは俺ずーっと暇なの」
「…なんつーか、器用に生きてるよなお前って」
こいつは実は、見た目に合わずかなり運動神経がいい。頭もいいし、何より器用だと思うのがそれを人に見せないところだ。
いつまで経っても前に進めない、俺と大違い。
「潤くんが不器用過ぎるんだよ」
「へ？」
「こんな所で、何やってんだか」
予想外の返答に面喰らっている俺をよそに、ニノは淡々と語りかけてきた。
「いつまでも逃げちゃって、小さなガキみたいだ。翔ちゃんは優しいからここまで言わなかった？でもニノちゃんは優しくないからズバズバ言っちゃう」
「ニ、ニノ…」
静かな中にも、苛立ちを含む彼の声は、少しだけ恐怖を感じさせた。
櫻井の言葉が頭の中に甦る。
お前、サッカー好きなんだな
好きなこと忘れようとする方が、もっと辛い
斗真がサッカーをしていたのなら、俺が逃げる理由は、何だろう。
「ここで逃げたら、もう二度とサッカーなんかできねぇぞ！」
ニノが、珍しく声を荒立てる。
試合終了のホイッスルが、ここまで聞こえてきた。
次は、俺たちのクラスのばん。
今から5分休み、今すぐ走れば、まだ間に合う。
行け、と、ニノに背中を押された時には、俺はもう走り出していた。
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おパンツマン(プロフ) - 晴一さん» ありがとうございます！２人の絶妙な距離感を感じ取ってもらえてうれしいです！（＾ω＾）ぜひ最後までお付き合い下さい！ (2015年4月5日 21時) (
レス) id: d7682a8cba (このIDを非表示/違反報告)
晴一(プロフ) - 初めまして晴一と申します(○´∀｀)トラウマを抱えた潤くんの優しさと前に進ませたい翔くん・・少しずつ縮まってく距離が丁寧に描かれててステキです･(つд`｡)･｡E.Tって・・（笑 (2015年4月5日 21時) (レス) id: 5dc01be9b4 (このIDを非表示/違反報告)
いちごぱんつ(プロフ) - arashisho2000さん» ありがとうございます！！初コメントすごく嬉しいです！（＾ω＾）ぜひ最後までお付き合いください！ (2015年4月4日 16時) (レス) id: 809e8ec63c (このIDを非表示/違反報告)
arashisho2000(プロフ) - この小説面白いです(*´ω｀*)これからもがんばってください (2015年4月4日 14時) (レス) id: 45272fac90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いちごぱんつ
| 作成日時：2015年3月31日 19時
