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平方君が云っていた事が本当なら、向こうは仕事が完全に回りきっていないという事になる。
つまり、必然的にあの方も仕事詰めの筈で…。
意を決して一ヶ月程前まで毎日のように向かっていた場所まで赴き、扉を前に深呼吸してから扉を叩いた。
中から聞こえてくる声にどきりとしつつも、之は仕事だと自分に云い聞かせ扉を開く。
「…橘?」
「はい。紅葉さんより溜まった仕事を片付けるようにと命を受けました。ご迷惑で無ければお手伝いさせて頂けませんか。」
「……いらねェ。」
「その書類の山は一人で消費するのは大変かと。」
「っ…いらねェって云ってンだろ!もう出て行け!」
もう一度口を開いて食い下がろうとする私の言葉を止めたのは扉の方から聞こえた音。
扉が開かれて顔を覗かせたのは、
「A…?」
「琴…。」
「なんか、久しぶり…。」
「そうね。」
私は幹部に向き直って頭を下げた。
「出過ぎた真似をしてしまい申し訳ありません。では、私は此れで失礼致します。」
「橘!」
「はい。何でしょう。」
「…いや、何でもねェ。」
「何かあればお声掛けください。」
再び頭を下げて部屋を出た。
私は自身のデスクに戻って項垂れた。
「はぁ…、きっつ…。」
覚悟を決めたつもりで居た。
それは所詮、つもりであって実際その光景を目の当たりにすると話は違う。
想い続けるのって苦しい…。
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鈴神(プロフ) - 本当に本当に今読ませて頂いてる唯一の夢小説ですが情報過多すぎて、、このお話に激重感情抱いてます、、二人が幸せになりますように。 (11月23日 20時) (レス) id: c20e30a6a0 (このIDを非表示/違反報告)
そこら辺の壁(プロフ) - 初コメ失礼します!中也さんイケメンとキャッキャしてたら、まさかの展開でビックリです……!これからどうなっちゃうの〜〜!?という気持ちがいっぱい過ぎて……。主様のペースで更新頑張って下さい!楽しみにしています! (11月23日 20時) (レス) @page32 id: 1836c9208c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:汎用うさぎ | 作成日時:2023年11月10日 12時