検索窓
今日:13 hit、昨日:28 hit、合計:37,086 hit

85 ページ35

.




橘に駆け寄る尾崎。

医療班を呼ぼうとするも橘は小さく首を振る。



「お気遣い、痛み入ります。私は大丈夫です。私なんかよりも…、尾崎様のお召し物が汚れてしまいます。どうか手を、お離しください。」

「A…、私の事は紅葉でよい。着物等、洗えばよい。其方は自分の身を案じておればよいのだ。」



それでも橘は尾崎を押し返した。



「娘の云う通りですぞ、尾崎殿。このような娘に何の価値があると云うのか。しかし漸くその価値を見い出せた事に娘自身も喜びを感じている。」



そうだろう?と同意を求める男の視線の先には血の気が引いた顔をしたAであった。

Aは頷いた。

そして男の首元にある刀を納めて欲しいと云う。



「私の父なのです。どうか…。」



尾崎は夜叉を消し橘から少し身を引いた。

男は一息落ち着かせると橘の髪を掴み上げる。



「遅えよ、この愚図が。父親の命は如何でもいいというのか、俺の子の分際でっ!」

「…申し訳ありません。」

「いい子だ。お前の兄もお前がいい子に育ってくれて喜んでいる事だろう。立ちなさい。」



立ち上がる橘の足元は覚束ない。

男が頭を下げるのに続いて橘も頭を下げた。



「では、私達は此れでお暇させて頂きます。」

「そうですか。もう少し話をしたかったのですが残念でなりませんよ。」

「お互い様ですよ。」



男と橘は部屋を出て、残ったマフィア側は深く息を吐いた。



.

86→←84



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (60 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
224人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

鈴神(プロフ) - 本当に本当に今読ませて頂いてる唯一の夢小説ですが情報過多すぎて、、このお話に激重感情抱いてます、、二人が幸せになりますように。 (11月23日 20時) (レス) id: c20e30a6a0 (このIDを非表示/違反報告)
そこら辺の壁(プロフ) - 初コメ失礼します!中也さんイケメンとキャッキャしてたら、まさかの展開でビックリです……!これからどうなっちゃうの〜〜!?という気持ちがいっぱい過ぎて……。主様のペースで更新頑張って下さい!楽しみにしています! (11月23日 20時) (レス) @page32 id: 1836c9208c (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:汎用うさぎ | 作成日時:2023年11月10日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。