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橘に駆け寄る尾崎。
医療班を呼ぼうとするも橘は小さく首を振る。
「お気遣い、痛み入ります。私は大丈夫です。私なんかよりも…、尾崎様のお召し物が汚れてしまいます。どうか手を、お離しください。」
「A…、私の事は紅葉でよい。着物等、洗えばよい。其方は自分の身を案じておればよいのだ。」
それでも橘は尾崎を押し返した。
「娘の云う通りですぞ、尾崎殿。このような娘に何の価値があると云うのか。しかし漸くその価値を見い出せた事に娘自身も喜びを感じている。」
そうだろう?と同意を求める男の視線の先には血の気が引いた顔をしたAであった。
Aは頷いた。
そして男の首元にある刀を納めて欲しいと云う。
「私の父なのです。どうか…。」
尾崎は夜叉を消し橘から少し身を引いた。
男は一息落ち着かせると橘の髪を掴み上げる。
「遅えよ、この愚図が。父親の命は如何でもいいというのか、俺の子の分際でっ!」
「…申し訳ありません。」
「いい子だ。お前の兄もお前がいい子に育ってくれて喜んでいる事だろう。立ちなさい。」
立ち上がる橘の足元は覚束ない。
男が頭を下げるのに続いて橘も頭を下げた。
「では、私達は此れでお暇させて頂きます。」
「そうですか。もう少し話をしたかったのですが残念でなりませんよ。」
「お互い様ですよ。」
男と橘は部屋を出て、残ったマフィア側は深く息を吐いた。
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鈴神(プロフ) - 本当に本当に今読ませて頂いてる唯一の夢小説ですが情報過多すぎて、、このお話に激重感情抱いてます、、二人が幸せになりますように。 (11月23日 20時) (レス) id: c20e30a6a0 (このIDを非表示/違反報告)
そこら辺の壁(プロフ) - 初コメ失礼します!中也さんイケメンとキャッキャしてたら、まさかの展開でビックリです……!これからどうなっちゃうの〜〜!?という気持ちがいっぱい過ぎて……。主様のペースで更新頑張って下さい!楽しみにしています! (11月23日 20時) (レス) @page32 id: 1836c9208c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:汎用うさぎ | 作成日時:2023年11月10日 12時