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「もう殺しても構わぬか?」
「まだだよ。重要な情報を吐いていない。」
「私にも我慢の限界があるでのう。」
橘が黙って男に殴られ蹴られている光景を爪が掌に食い込む程に耐えている尾崎。
「Aの疑いは晴れたか。」
「そうだねぇ、此処まで酷いと逃げ出したくなるのは分かるよ。家の出だけで刺客と決め付けるのは早かった。」
二人の会話を聞くだけに留まっている中原は橘が暴行を加えられる様をただ見ていた。
そして男がワインを口にして、ワインを褒めた。
しかしそのワインは誇れるような品ではなく、それがわかると八つ当たりのように橘にワインをかけ、ボトルを橘に叩き付けた。
橘は倒れて頭から血を流す。
あの無邪気に笑っていた橘を知る尾崎にとって光の無い瞳が見るに耐えなかった。
男は機嫌を良くして橘を捜していた訳を話始め、その情報が欲しかったマフィアは男の話に耳を貸す。
語り終えれば森から合図が出された。
尾崎は話を割って入って告げた。
「その娘、私にくれぬか。」
橘は優秀だと、必要不可欠だと云う。
その言葉が橘にはどれだけ救いの言葉になっているかは尾崎は知らない。
思った事を告げているだけであるからだ。
豪快に笑って手を振り上げた男の首元には一本の刀が添えられていた。
少し動けば首は切れてしまう。
「それ以上私のAに何かしてみよ。首と身体が分かれる事になるぞ。」
橘の瞳は涙の膜で覆われ明かりによってほんの少しだけ光が見えた。
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鈴神(プロフ) - 本当に本当に今読ませて頂いてる唯一の夢小説ですが情報過多すぎて、、このお話に激重感情抱いてます、、二人が幸せになりますように。 (11月23日 20時) (レス) id: c20e30a6a0 (このIDを非表示/違反報告)
そこら辺の壁(プロフ) - 初コメ失礼します!中也さんイケメンとキャッキャしてたら、まさかの展開でビックリです……!これからどうなっちゃうの〜〜!?という気持ちがいっぱい過ぎて……。主様のペースで更新頑張って下さい!楽しみにしています! (11月23日 20時) (レス) @page32 id: 1836c9208c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:汎用うさぎ | 作成日時:2023年11月10日 12時