検索窓
今日:12 hit、昨日:84 hit、合計:37,169 hit

84 ページ34

.




「もう殺しても構わぬか?」

「まだだよ。重要な情報を吐いていない。」

「私にも我慢の限界があるでのう。」



橘が黙って男に殴られ蹴られている光景を爪が掌に食い込む程に耐えている尾崎。



「Aの疑いは晴れたか。」

「そうだねぇ、此処まで酷いと逃げ出したくなるのは分かるよ。家の出だけで刺客と決め付けるのは早かった。」



二人の会話を聞くだけに留まっている中原は橘が暴行を加えられる様をただ見ていた。

そして男がワインを口にして、ワインを褒めた。

しかしそのワインは誇れるような品ではなく、それがわかると八つ当たりのように橘にワインをかけ、ボトルを橘に叩き付けた。

橘は倒れて頭から血を流す。

あの無邪気に笑っていた橘を知る尾崎にとって光の無い瞳が見るに耐えなかった。

男は機嫌を良くして橘を捜していた訳を話始め、その情報が欲しかったマフィアは男の話に耳を貸す。

語り終えれば森から合図が出された。

尾崎は話を割って入って告げた。



「その娘、私にくれぬか。」



橘は優秀だと、必要不可欠だと云う。

その言葉が橘にはどれだけ救いの言葉になっているかは尾崎は知らない。

思った事を告げているだけであるからだ。

豪快に笑って手を振り上げた男の首元には一本の刀が添えられていた。

少し動けば首は切れてしまう。



「それ以上私のAに何かしてみよ。首と身体が分かれる事になるぞ。」



橘の瞳は涙の膜で覆われ明かりによってほんの少しだけ光が見えた。



.

85→←83



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (60 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
224人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

鈴神(プロフ) - 本当に本当に今読ませて頂いてる唯一の夢小説ですが情報過多すぎて、、このお話に激重感情抱いてます、、二人が幸せになりますように。 (11月23日 20時) (レス) id: c20e30a6a0 (このIDを非表示/違反報告)
そこら辺の壁(プロフ) - 初コメ失礼します!中也さんイケメンとキャッキャしてたら、まさかの展開でビックリです……!これからどうなっちゃうの〜〜!?という気持ちがいっぱい過ぎて……。主様のペースで更新頑張って下さい!楽しみにしています! (11月23日 20時) (レス) @page32 id: 1836c9208c (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:汎用うさぎ | 作成日時:2023年11月10日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。