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男は橘を叩いては笑う。
「まあ、こんな奴でも私の娘ですから家出した時は心底心配しておりましたが、戻ってきてくれた事に安心してます。」
「それは、良かった。」
「…。」
一度会話が途切れる。
すると今度は拳を振るった。
「俺ばかりに頭を下げさせるな!お前なんかの為に此処まで足を運んだんだぞ!」
容赦なく殴り続け、更には蹴りも加わって、先程の大和撫子並みの容姿が見る影も無くなった。
口端からは血が流れ、顔は痣も出来、腫れも見える。
それでも橘はされるがまま。
少し疲れたのか暴行を辞めた隙に橘は座り直して膝の前に両手を付き、深々と頭を下げる。
「大変お世話になりました。感謝しております。」
この橘の行動に機嫌を良くした男はワインを口に含む。
「なかなかの上物ですな。」
「……恐れながらそのような品ではありませんよ。たかだか数万の品です。」
自分の舌を否定されて悔しいのか顔を真っ赤に染め上げると、ワインボトルを持ち上げ橘の頭上でボトルを傾けた。
ワインは重力に従って橘の頭から顔、身体、床を濡らしていく。
「A。」
ガシャンと音がしたのは、男がワインの空き瓶を橘に振り下ろして割れた音だった。
流石の橘も意識はあるものの頭から血を流して倒れ込む。
橘の目には目だけで人を殺してしまう程の形相をした尾崎の姿が映っていた。
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鈴神(プロフ) - 本当に本当に今読ませて頂いてる唯一の夢小説ですが情報過多すぎて、、このお話に激重感情抱いてます、、二人が幸せになりますように。 (11月23日 20時) (レス) id: c20e30a6a0 (このIDを非表示/違反報告)
そこら辺の壁(プロフ) - 初コメ失礼します!中也さんイケメンとキャッキャしてたら、まさかの展開でビックリです……!これからどうなっちゃうの〜〜!?という気持ちがいっぱい過ぎて……。主様のペースで更新頑張って下さい!楽しみにしています! (11月23日 20時) (レス) @page32 id: 1836c9208c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:汎用うさぎ | 作成日時:2023年11月10日 12時