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上を見上げて一週間と数日ぶりの職場に目を細めた。
此処に来るのも今日が最後…。
けじめをつける為に来たけれど、このビルに入るのが少し怖いと感じた。
「おはようございます…。」
先に出社していた人達に挨拶をした。
自分のデスクの椅子に座って鞄の中から一枚の紙が入った封筒を取り出した。
そこで、私の名前を呼ぶ声がして振り向いた。
「A!良かった!全然来ないから心配したんだよ!」
「…ごめんね。少し体調崩してて。」
「そう…、元気になったなら良かった。」
にこりと微笑む琴に私も笑って返した。
すると何か云いたそうに、でも云いづらそうに両手の指を合わせる仕草をする琴。
「あの…、中原幹部と別れたの?」
「うん。」
「っ…、それでね、その…、私達付き合う事になったの。」
「おめでとう。」
「なんか、ごめん…。」
「謝らないで。別れた後なら、私がとやかく云う事じゃないから。」
「A…。」
「だから、幸せになってね。」
目尻に涙を溜める琴の頭を撫でて落ち着かせる。
もうすぐ始業の時間になる。
そして、現在の私の上司が部屋に入られて私は封筒を手に取って上司に頭を下げて封筒を手渡した。
「大変、お世話になりました。」
「…あァ。」
デスクに置いていた鞄を提げて私は部屋もビルも出て振り返る事もなく足を進めた。
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鈴神(プロフ) - 本当に本当に今読ませて頂いてる唯一の夢小説ですが情報過多すぎて、、このお話に激重感情抱いてます、、二人が幸せになりますように。 (11月23日 20時) (レス) id: c20e30a6a0 (このIDを非表示/違反報告)
そこら辺の壁(プロフ) - 初コメ失礼します!中也さんイケメンとキャッキャしてたら、まさかの展開でビックリです……!これからどうなっちゃうの〜〜!?という気持ちがいっぱい過ぎて……。主様のペースで更新頑張って下さい!楽しみにしています! (11月23日 20時) (レス) @page32 id: 1836c9208c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:汎用うさぎ | 作成日時:2023年11月10日 12時