234話 ページ35
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「あら怖い。」
別に今更ナイフを向けられただけで恐怖なんて感じない。
中也がそばにいるからというのもあるけれど。
「中也が当時ポートマフィアの少年と一緒に居たのは共通の目的があったから。貴方達を裏切ってなんかいなかったの。
マフィアの少年の策略にまんまと乗った貴方達は彼がポートマフィアに加入すると思いGSSと同盟。
そして中也を殺そうとし、マフィアはGSSを皆殺し。
さて、そんな中、どうして貴方達は生き残れたのか。
中也が取引したからよ。子供は殺すなって。」
真実を知った焦りからナイフを持つ手が震えている白瀬君の手を握り、ナイフを引き抜いて折り畳む。
「貴方達は中也の優しさに、ポートマフィアの情けに生かして貰ったの。それをよく覚えてこれから生きていきなさい。」
彼の手にナイフを握らせて私はすり鉢街から出る道へ一歩足を踏み出した。
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先々と歩くAの背中はとても小さく感じた。
「いい女だろ。少し危なっかしいがな。」
「本当に結婚してるのか…?あの時の女と…。」
「婚約中だ。俺の問題が片付きゃ、直ぐにでも籍入れる。」
左手薬指に嵌まる指輪に一つだけキスを落とすと自然と頬が緩む。
嫉妬して人前でキスして、自分のものだと見せつけるAが心底、愛おしかった。
「じゃあな、元気でやれよ。」
今度は俺がAの背中を追う番。
歩を進めた俺に後ろから白瀬が大きな声で叫ぶ。
「幸せになれよっ!!」
俺は振り返り、笑って返した。
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作者名:汎用うさぎ | 作成日時:2023年5月28日 11時