232話 ページ33
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「中也、だよな…？」
「…手前、白瀬か。」
目の前の青年は中也と知り合いみたいで、中也に名前を呼ばれてぎこちなく頷いた。
「そうか。元気そうで何よりだ。A、行くぞ。」
「え、うん…。」
「ま、待ってくれ！俺達、あの時の事後悔してんだ！皆にも中也が帰ってきた事伝えるからよ！」
「必要ねェ。もう用は済んだ。」
白瀬と呼ぶ人の横を通りすぎる。
隣の中也の表情は至っていつも通り。
「少しでいい。話くらいしようぜ。」
「しつけェな！」
追いかけてくる白瀬君に少しずつ口調が荒くなっていく中也。
思い出してきたけど、彼は私がゲームセンターで盗聴機をつけた羊の構成員。
「でも、皆謝りたいってずっと…っ！」
「いらねェ！」
「…なんか近くに来ると中也がより小さく見える。」
「ンだと手前ッ！嫌味みたく背ェ伸ばしやがって！」
過去の事はあっても意外と仲は良さそう。
歩いていく道の先に息を切らした女の子が居て、本当に中也だ…と呟いて彼の胸に飛び込んだ。
…飛び込んだ？
「離せッ！」
「嫌！ごめん！ごめんなさい…っ！」
「本気でしつけェンだよ！白瀬も手前もッ！！」
中也が女の子を離そうとするけれど、ちゃんと話をしてくれるまで離さないと頑なにしがみついている。
そろそろ私も苛つきを抑えられそうにない。
「ねえ、中也…っ！」
「離れろッ！！」
彼女が胸に顔を寄せた事で私の我慢の限界がきた。
「そろそろ私の旦那を離していただけますか。」
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作者名：汎用うさぎ
| 作成日時：2023年5月28日 11時
