検索窓
今日:23 hit、昨日:5 hit、合計:7,754 hit

218話 ページ19

.




彼女の涙は堤防が決壊したかのように溢れ出す。

そしてキッと私を睨み付けて、言葉と一緒に感情をぶつけてくる。



「私の方が先に中原様とお会いしてましたのに…!好きになったのも私の方が先でした!何故、貴方に横取りされなければならないのですか!!」



もし、中也が私じゃなくて他の女性を選んでいたら彼女と同じような気持ちを抱えていたのだろうか。

彼女と同じことを、大好きな人の大事な人を殺そうと思うのだろうか。

私には経験の無い事だけど、今の私の気持ちは揺るがない。



「好きになったのは貴方が先かもしれません。でも、彼を好きな気持ちは絶対に負けません。」



ぐっと唇を噛む女性に、もう一人の女性が寄り添った。



「手前の云う、どっちが先っつう話なら俺は手前より先に此奴と会ってる。俺が先にAを好きになった。まだ何か云いたい事はあるか。」

「っ…ありません。」



中也は私へ向かって歩いてくると、力強く私を抱き締める腕に私も応えた。

いい気分が台無しだぜ、等と呟く彼に首を傾げた。

中也は私から離れると懐から小さな箱を取り出した。



「店から連絡あってよ、取りに行ってた時にあの探偵から連絡があった。」



箱を開いて二つ並んだ指輪の一つを取り出すとそれを私の薬指に嵌めた。

指輪の嵌まった手を眺める彼は嬉しそうで、薬指にキスを落とした後、自身の左手の手袋を外して同じようにもう一つの指輪を同じ場所に嵌める。



「気が早ェけど形だけは立派だろ。」



指輪の嵌まった手を私に見せつけて笑う彼に私も一緒になって笑った。



.

219話→←217話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (5 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
27人がお気に入り
設定タグ:文豪ストレイドッグス , 中原中也   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:汎用うさぎ | 作成日時:2023年5月28日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。