211話 ページ12
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「俺マフィア辞めるわ。」
そう告げるとまあ予想通り、全員から短いが最大級の驚きの声が上がった。
何故、という声が上がるのも当然だ。
「あー、まァ結婚すンだよ…。」
「結婚!?」
「それはめでたいですな。しかし、マフィアを辞めなくてはならぬ事とは思えませんが。」
「……相手が相手なンだよ。でも、後悔はしねェ。」
その相手とは、と恐らく誰もが気になる事を樋口が口に出した。
俺は少し気恥ずかしい気持ちになりながら頭を掻く。
「…三上A。」
「「ええ!?」」
「どういう事です。僕は何も聞いておりません。ましてや、恋仲だった事すらも…。」
「それについては悪い。組織としては対立してっからなァ、早々云えるモンじゃねェ。」
銀にも悪いな、と一言謝ると首を振られた。
「姉上が幸せなら私に止める権利はありません。それに、中也さんでしたら心配はしておりません。」
「銀…。それは僕とて同じ事。中也さん、姉上をどうかよろしくお願いします。」
二人して頭を下げられる。
俺は、ちゃんと幸せにすると二人に応えた。
「芥川。銀。兄上って呼んでみろ。」
「…。」
「…兄上様?」
「おー、銀、それいい響きだな。ほれ、芥川、手前も。」
「あ、…兄上。」
兄上と呼ばれて俺は気分が上がる。
「つっても直ぐに結婚する訳じゃねェ。」
「何故呼ばせたのですか…っ。」
「聞きてェからに決まってンだろ。ンでだ、悪いが俺の仕事を手前等に分配する。ま、要は引き継ぎだな。」
迷惑かけるがよろしく頼む。
俺は深く頭を下げた。
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作者名:汎用うさぎ | 作成日時:2023年5月28日 11時