201話 ページ2
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探偵社内で居る時は、狙われてるとは思えない程いつもと変わらない日常。
報告書を書いて仕事に手を付けていればあっという間に退社の時間。
デスクの上が片付け終わったその時に、探偵社の扉が開かれて、帰るぞとお呼びが掛かった。
「中也!ごめんなさい、わざわざ来てもらって…。」
目の前まで駆け寄ると、少し間を開けて、謝ってンじゃねェと頬を引っ張られる。
「中也〜。送り狼になっちゃダメだよ〜。」
「送り狼も何も同じところ帰るンだから関係ねェだろ。」
「…猿になるんだ。」
「手前ッ!云い方考えろ!」
「え、猿になるの?」
「っ…手前が、その気なら。」
「じゃあやめておくわ。」
「なんでだよッ!」
くそっ、と言葉を吐き出してから私の手を引いて探偵社を出て、車に乗せられて中也の家へと着いた。
「お邪魔します…。」
「ただいまだろうが。」
「…た、だいま。」
「おう、おかえり。」
また手を引かれてソファに座らされる。
見下ろす中也は帽子、外套、手袋を脱ぎ捨てる。
そして口付けを落とされて、そのままゆっくりと二人でソファに沈み込んだ。
「一緒に住めば、いつでもこんな事が出来るな。」
「また、そんな事ばかり考えて…。」
「Aと二人の時は、こんな事しか考えてねェよ。」
またキスの雨が降る。
今日の雨は、穏やかだった。
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作者名:汎用うさぎ | 作成日時:2023年5月28日 11時