92話 ページ43
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業務中、携帯がメールの受信を知らせる。
誰からか確認すると今まで頭を埋め尽くしていた三上からのメールに胸が高鳴った。
にやける口元を抑えながら内容を見る。
一枚の写真と、こいつムカつくの文。
「ぶっ。」
太宰の高すぎる位置に結われた髪。
三上の仕業だろうが、仕事中じゃねェのかよ。
思わず笑ってしまって、返信してやろうと指を動かしてる最中、はた、と我に返る。
俺は三上から離れると決めた。
返信しようとした内容を全て消して、初めて三上から届いたこのメールを静かに削除した。
「あー、くそ。」
書類に埋め尽くされた机に顔を埋めると、扉がノックされて、芥川ですの声に今はあまり会いたくねェ奴だなと思いつつ入るように促した。
「失礼します。」
「おう、どうした。」
「資料を届けるよう尾崎さんに仰せ付けられました。」
「姐さんから?悪ィな、確かに受け取ったぜ。」
「それでは僕はこれで。」
部屋を出たのを確認して、姐さんからだと云う資料を茶封筒から取り出して目を通す。
「…スイーツ五十種。…定額食べ放題。恋仲限定割引…。」
俺は携帯を取り出し直ぐ様姐さんへと電話をかけた。
「あの、資料受け取ったンすけど、何ですこれ。」
『Aとの逢い引きにどうかと思ってのう。』
「…すみません、余計なお世話です。」
重要な要件では無いんですね?と確認。
『まあ聞け。別件もあるでのう。マフィアにあまり関係無いのじゃが、最近、ちと厄介な異能力者がこの横浜に出没しとる。』
「厄介な異能力者…?」
『そうじゃ。能力の詳細はまだ分からぬ。中也ならまあ、大丈夫じゃろうが気を引き締めよ。』
「分かりました。」
プツリと切れた電話。
だん、と机を叩いて俺は思った。
「そっちの方が重要だろ…ッ!」
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作者名:汎用うさぎ | 作成日時:2023年4月25日 22時