【文スト】異能《眠り姫》2 (ページ17)

今日:36 hit、昨日:15 hit、合計:21,392 hit

66話ページ17

.

着いたのだろう場所で車を停めて降りるよう促される。

見上げた看板はいつか私が姐さんとここに行ってみたいと話していたカフェだった。

「ねえ、ここ…。」

「…姐さんと話してたんだろ。行きてえって。」

つまり中也君は私が行きたい処を確認していたという事で、ありがとうと云うべきなのだが私の口から出た言葉が、

「彼氏？」

「手前、その口閉ざすぞ。」

「へー、何で閉ざしてくれるの？」

下から彼の顔を覗き込むようにして訊いてみると徐々に赤くなっていく顔に、え…、と声が漏れ出た。

だってまさか、そんな反応されると思わないじゃない？

「くそっ…行くんだろ。」

「う、うん…。」

なんか気まずくなってしまった。

カフェの扉を開けるとカランと音が鳴る。

内装はテレビで放送されてた通りの居心地の良さそうな空間が広がっていた。

何より、私はここのプリンに目を付けていた。

「もう決めてんのか。」

「うん、ここに来たら絶対にプリン食べるって思ってたの。ふふ、ありがとね。連れてきてくれて。」

突如、額をテーブルに打ち付けた彼に驚いて肩がびくりと跳ねる。

そんな彼は一人で何やら呟いている。

「違ぇ、絶対ェ違え…。有り得ねえ…。」

今日の中也君は情緒不安定。

.