【アイナナ】ハッピーホーム。 6th

【252】 ページ6

.




夕食も食べ終わり落ち着いたところで、帰ると言う百さんにまた来てねと見送るお母さんに明るく返事をする百さん。



「送ります！」

「大丈夫だよ、車で来たから。」

「じゃあ車まで。」

「ありがとう。」



外に出れば本当に百さんの車があった。

運転席のドアを開けて乗り込もうとする百さんの服の裾を掴む。まだ、一緒に居たいのにそれが出来ない事が寂しい。

私に体を向け直した百さんは私を見下ろす。



「んっ……。」



不意の深いキスに舌が蕩けてしまいそう。



「A、愛してる。」

「……うん。」

「あはは！Aらしい照れ隠しだね！可愛い。」

「そんなんじゃっ……。」



この人の笑顔の前じゃ、私は嘘をつけない。

彼を見上げ、愛しそうな表情を向ける百さんに笑顔を作って胸に飛び込んだ。



「あのさ、百は自分の好きの方が大きいって言ってたけどそうでもないよ。」

「え？」

「愛してる。ずっとこうして、抱き締めて欲しい。時と場所は選んで欲しいけど。……でも、そんなとこも好き。真っ直ぐに想いを伝えてくれるとこも好き。大人な百も、ちょっと子供っぽい百も凄く好き。……百が好き。」



高鳴る心音。これはどちらの音だろうか。



「……百、心臓うるさい。」

「だってAからこんなに好きって言って貰えるなんて思わなかったし……。」

「飽きた？」

「全然！もっと言って！！」

「ふふ、だーい好き！」

「ちょー可愛い！！」



.

【253】→←【251】

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す