【05】 ページ7
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あれから数日の時間が流れた。今日はあのときとは違って新月な為、月明かりが無く、小さな星の明かりだけが私の足元を照らしている。
「遅いお帰りですね、お嬢さん。」
「……ほっといて。」
塀に腰をかけている神出鬼没の怪盗は、何故か私の前に現れた。トン、と地面に降り立てば胸に手を当てお辞儀をする。
「宜しければ、私がご自宅までご一緒しましょう。こんな夜に女性一人では危険ですから。」
「…………。」
無視。そう心のなかで唱えて、スタスタといつものペースより早足で帰路を歩く。けれどいつの間にか隣に並んで一人ペラペラと話し出す。
「貴方、お喋りね。」
「お嬢さんが退屈かと思いまして。」
「とても。」
「はは!冷たい方だ!ですが、貴方の時折見せる笑顔はまごうことなき本物ですよ。」
ポンッと二度目の薔薇を受け渡される。
「用件は何なの?」
「おっと。私としたことがうっかりしてました。次の土曜日に再び、次郎吉さんの屋敷に忍び込むことに決めましたのでご報告を。」
「私に言って、どうするの?コナン君でも連れてきたらいいわけ?」
「いいえ。貴方に贈ったのですよ、挑戦状を。私を、捕まえてはいかがですか?」
「……そうね。今捕まえるのもいいかも。」
「へ?」
ガシッと彼の腕を組んでもう片方でスマホを操作していると、キュポ等という変な音が聞こえたと思えば、
「気が早すぎますね、お嬢さんは。」
「ん?……ひゃっ。ま、マネキン!?」
確かにキッドの腕を掴んだはずなのに、マネキンの腕へと様変わりしていた。驚いた私を見て、口元に手を当てクスクスと笑う彼を睨み付ける。
「すみません、照れ隠しですよ。」
腕を組まれるのは慣れてないもので、とあからさまな嘘を付く彼を再び睨み付けた。
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汎用うさぎ(プロフ) - 祟璃さん» 成る程…。参考にさせて頂きます!アドバイスありがとうございました! (2019年4月13日 21時) (レス) id: 8e53fc3a0e (このIDを非表示/違反報告)
祟璃(プロフ) - いつお話が変わったんだろう...ということが所々ありました。場面の展開をもう少し細かくされればいいと思います...。 (2019年4月13日 20時) (レス) id: 53235c3c55 (このIDを非表示/違反報告)
名無し56039号(プロフ) - とっても面白いです!!この作品は完結まで持って行ってください!!お願いします(>人<;) (2018年10月1日 23時) (レス) id: f94faaa2fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:汎用うさぎ | 作成日時:2018年9月29日 8時