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千さんの車の中での話。
私は助手席に座らせてもらい、運転する千さんを横目で見ていた。
「何？」
「いえ、相変わらずイケメンだなあと。」
「そう。ありがと。」
百さんによく言われ慣れているからだろう、何も動揺する気配がない。
「そういえば、Aちゃんの後輩達どう？」
「あ、そうそう！昨日相談に来てくれた子がいて、私の挫折の話をしてあげました！」
「振られてなかったんだ。」
「だから言ったじゃないですか。」
「で、その挫折した話って？」
「デビュー前のです。デビュー後のはいいかなと思って。彼らが私と同じようになるとは思えませんし。」
「何その話。初耳。」
「初耳……！？」
デビュー前のは知らなくて当然だけど、デビュー後は思いきり私と話したじゃないですか。
私の傷口に塩コショウを振りかけてくれたあの日を初耳という単語で……。
「お、覚えてないんですか？」
「ごめん、覚えてない。」
「私が生放送で失敗した時ですよ。私にはセンスがないんですって言ったら千さん、何て言ったか覚えてます？」
「えっと、何だっけな…。」
「『センス？何ソレ、ウケる』って！」
「言ってないよ。」
「言いました！」
「じゃあ、ごめん。」
「いいですよ、もう！覚えてないならいいです。私は、その後の言葉に救われましたから。」
「何て言ったっけ。」
「教えません。自分で思い出してください。」
そっぽを向いて流れる外の景色を見ながら小さなため息をついた。
「センスは磨くもの、だっけ？」
「……覚えてるじゃないですか。」
「今思い出した。」
「意地悪な先輩。」
頬杖をついて、外を見れば見慣れた景色が色づいている。あの時私はきっと、こんな景色が目に入らないくらい切羽詰まってたんだろう。
自分は何も出来ないって。
失敗が怖かった。ミスが怖かった。
だから失敗した。
でも今はファンを満足させていない、私が気持ち良く歌を歌っていない方がよっぽど怖い。
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汎用うさぎ(プロフ) - まおさん» そうでした。ご指摘ありがとうございます！ (2018年2月23日 5時) (
レス) id: 8e8f377fcc (このIDを非表示/違反報告)
まお - ばんりさんは“万里”じゃなくて“万理”ですよー (2018年2月23日 2時) (レス) id: 2570a473dd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：汎用うさぎ
| 作成日時：2018年2月16日 22時
