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仕事が降谷より早く終わってしまった私は、うろうろとして気持ちを落ち着かせながら彼を待っていた。
自販機にお金を入れてコーヒーを購入。
「さ、差し入れだから。これ渡すついでに言うだけだから。別に付き合うとかそういうわけでは…。」
一人でボソボソと自販機相手に呟く私は、どこからどう見てもおかしい人だ。
いつも彼から差し入れと渡されるブラックコーヒーを手にとり、何度も携帯で時間を確認。
「もうすぐ八時…。」
まだかまだかと待ち構えるが、緊張のあまり眠気に襲われうとうととしてしまう。
ここで寝たら想いを伝える日はいつになってしまうのか分からない。
「て、差し入れするだけだからー!!」
私は乙女か!乙女なのか!?
カツカツとヒールを鳴らして歩き回ると、お目当ての男の後ろ姿を見つけた。
「ふ、降谷!」
「七瀬…?」
振り返った降谷は、まだ帰っていなかったのか、と私に言う。
「うん…。えと……仕事、終わった?」
「ああ。これから帰ろうと、」
きゅ、と彼のスーツの裾を掴む。
下を向いて、彼にまず差し入れと缶コーヒーを差し出すと、ありがとうと受け取った。
「どうした?」
「…察してよ、馬鹿。」
勘の鋭い降谷は黙って私を見下ろす。
子供でも想いを伝えるのに、大人になればなるほど、言葉じゃなくても伝わると思ってしまう。
それが駄目なんだろう。
話し合わずに別れてしまう恋人達が多数。
私は、そんな事を望んでいない。
「降谷が、好き…。」
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作者名:汎用うさぎ | 作成日時:2017年9月24日 18時