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「んっ…。」



運転席から助手席へと身を乗り出して、キスをしてくる降谷の器用さに驚きつつも彼の肩に手を置いて支えた。



「ちょ、長っ…!」



微かな休憩も許されない強引なキス。

優しいキスなんかじゃなく、体に降谷零という男を刻まれているような、そんな感覚。

勿論、こいつに不得手な物は何もない。

つまり上手いんだ。



「お前の弱いところは何処だ?」

「し、知るわけないでしょ!」

「そうか。」

「何嬉しそうな顔してんの。」

「嬉しくもなるだろう。」



慣れないキスと自分の弱い箇所が分からない。
俄然、やる気が出るな。


ニヤリと口角を上げた彼はそう言った。


そして再び唇を合わせた。

息を求める私より何枚も上手な彼は私の口内に舌を入れ、所構わず絡ませる。

やっとの事で離されたが、私の息づかいは切れ切れだ。



「今回はお前の弱いところは分からなかった。次を楽しみしているよ。」



ちゅ、と音を鳴らしてキスを落とした彼は帰ろうか、とエンジンをかけて車を走らした。


さっきの言葉は嘘だ。

だって、ずっと同じ箇所に舌を這わされたんだから。


隣を見れば、まるで何もなかったかのように運転している降谷は前だけを見ていた。


彼はいつどんな時でも意地悪だ。



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作者名:汎用うさぎ | 作成日時:2017年9月24日 18時

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