モヤモヤするのは貴方のせいです (ページ16)

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そうだ。

私は彼と彼のマンションで一夜を過ごした。

今思い出してみれば、私も相当恥ずかしい事を言ったし、彼もまた、甘い言葉で私を翻弄する。

狙ってるんじゃないか、と思うくらいに。

いや、実際狙ってるんだろうけど。

「なんか、急に恥ずかしくなってきた…。」

「そりゃ、自分に好意を持ってくれている人と一夜を過ごしたんですからね。それに降谷さんときましたし。」

「私、何もしてないよね！？」

「自分に聞かれても……。」

分かっている。

風見に聞いても答えは返ってこない事くらい。

両手で熱くなった顔を覆い隠す。

「降谷さん、頑張っていますよ。」

知ってる。

風見よりも、知ってる。

こんな私に、猛アタックしてくる男なんて彼くらいだから。

キスだって、初めてではないけれど、降谷とは勿論初めてで、顔が離れた時の、どうしようもなく嬉しそうな顔は今でも覚えている。

「降谷は、私の以前好きだった人を知ってる。その人を好きなままでいいから俺を好きになれと。

でも、それは私が納得出来なかった。

嫌いじゃないんだよ？嫌いじゃないのは分かるけど、この気持ちが好きだった人と同じ感情じゃないの。」

私はどうすればいい？

そう目で風見に訴えた。

「降谷さんがなんとかしますよ。」

なんて、信じられる言葉だろうと瞬間に思った。

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