モヤモヤするのは貴方のせいです (ページ12)

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「何故、俺に対して敬語を使う。」

「……嫌われたと思ったんです。それならいっそ、私も距離を置こうと思いました。」

ボソボソと蚊の鳴くような声で言う。

隣で盛大にため息をつく降谷を見上げて目を皿のようにして見つめた。

「俺がいつ嫌いだと言った。」

「いつも嫌がらせばかりしてきたじゃないですか。普通思いますよ。」

「ならもう、使うな。」

「ならもう、嫌がらせはしないで下さい。」

「それはどうだろうな。お前が無駄に落ち込んだ時はしたくてしょうがないが？」

ニヤニヤとする彼の意図は分からないが、彼が私に対して嫌がらせをする時は決まって私が疲れている時や悲しんでいる時だ。

彼は以前言っていた。

＿＿一瞬でも忘れられただろう？

「……不器用すぎです。」

「自覚はしている。」

ふふ、と笑って彼の肩に頭を乗せた。

一瞬だけビクッとした降谷だったが、私の肩に手を回してグッと自分へと引き寄せる。

「本当はね、もう忘れないといけないと思ってたのに出来なかった。でも、降谷のおかげで前に進めそうな気がしてきた。ありがとう。」

「っ……俺がどんな気持ちで居たと思ってる」

「全くだね。だけど、降谷が私を本当に想ってくれてるなら、待ってて欲しいんだ。忘れてみせるから。」

「忘れなくていい。あいつの事が好きなまま俺を好きになればいいだけだ。」

そうだろう？

耳元で囁かれる甘い声に体が痺れて、照れ隠しに寝る！と叫んでそのままソファに横になった。

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