イライラするのは貴方のせいです

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書類整理をしている時、彼は私に言った。



「あれ？まだ終わってなかったんですか。徹夜はお肌に悪いですよ。」

「生憎、私は貴方と違って仕事が多く回ってくるので休む暇なんてありません。」



彼は喉を鳴らして笑った。

この態度も、笑いも、全てが私をイラつかせる。



「相変わらずだな。今日はその位にしておいたらどうだ。明日もあるんだろう。」

「いえ。残してしまった私のミスです。最後までやりきって家に帰ります。」



彼の方は見ずにそう言い切るとコトリと机に置かれたブラックコーヒーに目を細める。



「何のつもりですか。」

「頑張っている七瀬さんに労いを少々。」

「私、ブラックコーヒー飲めません。」

「ええ。存じていますよ。」



ほら。

また私をイラつかせる。

知ってて飲めないものを態々差し入れにする彼の考えが私には全く分からない。



「明日は風見と飲むかな。」

「残念でしたね。明日は私が風見と飲む約束をしているので別の日にでもして下さい。」

「……二人でか。」

「はい。」



急に不機嫌になってしまった降谷に、今日初めて彼の顔を窺う。



「どうかしました？」

「いや、何でもない。」



降谷はあまり飲み過ぎるなよ、とだけ言って出て行った。

私の机の上には、いかにも苦そうにBLACKとかかれた缶コーヒーが残されている。

プシュと音を鳴らして口をつけた。



「にっがっ…！」



眠気覚ましにはいいかも、なんて言い訳をつけて少しずつ飲み干した。



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