:QK: 短編集（BL）

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山本 目線

お互い様、と返した福良さんに笑みを向ける。
僕が笑いかけると、福良さんはいつも少しだけ頬を赤くする。
そういうところが可愛いなって。

福｢編集が終わったから、もうやる事は無いんだけど、……もう少し一緒に居ようよ｣

山｢！、はい！｣

珍しく福良さんが甘えてきた。

この人はいつも気を使って甘えてこないから、こういう時は本当に珍しい。

何しようかなぁ、と悩んでいるとﾃﾞｽｸの隅に置いてあるたくさんのﾊﾟｽﾞﾙが入った箱が目に入った。

こちら側に寄せて中身を見ていると、福良さんが｢ぁ、それまだ俺やったことない｣と螺旋状のﾊﾟｽﾞﾙを取り上げた。

山｢福良さんなら20秒も要らずにできるんじゃないですか笑｣

福｢うーん…笑｣

そう言いながらﾃｷﾊﾟｷと手を動かす福良さん。
真剣な顔をしている福良さんの顔を見ることが好きなのは秘密。

福｢ぁ、できた。｣

山｢ぇえ！？もう、ですか！？｣

流石福良さん。だけどもっと見つめていたかったなぁ。

福｢山本もやってみてよ、これ｣

ﾊﾟｽﾞﾙを元の形に戻されて渡される。
ぇ、こんなのをさっきの数秒でやったのこの人？

--

2分程手を動かしたものの、まったく解ける気がしない。

山｢うわ〜、僕これ苦手かもしれないです笑｣

少し面倒くさくなってﾊﾟｽﾞﾙから手を離そうとすると、

福｢ここ後2手だよ。ほら、いい感じゾーン｣

そう言って福良さんが手を重ねてきた。


その行動は福良さんにとって無意識にやった事なのだろうけど、僕には心臓に悪かった。

福｢こうして、ここを右にずらして…ほら！｣

福良さんに教えてもらうと、あっという間にﾊﾟｽﾞﾙは解けてしまった。

山｢…すげ〜｣

この状況もあることと、数秒で解けてしまったことが合わさってこれくらいしか言葉がでなかった。

ふふ、と目の前で満足そうに笑うのはずるい。

ぼぅ、っとその顔を見つめているとふいに福良さんと目が合った。

福｢？、なんかある？｣

頬に手を当てて自分の顔に何かついているのかと確認する福良さん。

山｢あ、いや、何か。福良さんかっこいいなぁって｣

当たり前ですね、と最後に付け加えてまた笑いかけると、福良さんは暫く豆鉄砲をくらったように固まっていた。

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