:QK: 短編集（BL）

きゅうじつ(東工大×早稲田) ページ32

福良 目線

休日のｵﾌｨｽ。ｶﾀｶﾀとｷｰﾎﾞｰﾄﾞの音が響く。

山｢ぁあ〜〜〜、やっっと終わったぁ｣

そう言って大きく伸びをする山本。
大きい声をだすと声が裏返るところが少し可愛い。

福｢おつかれ、ありがとね｣

丁度珈琲を入れていたので、山本のぶんも入れて渡す。
熱いよ、と言う前に山本は口をつけてしまったようで、あちっ、と顔をしかめていた。

福｢ごめんね、休日に手伝ってもらっちゃって｣

山｢ぜーんぜん！凄い暇だったんで、大丈夫ですよ！｣

動画の編集，久しぶりにやった気がします、と笑う山本。
急に呼んでしまったのに、そのことに嫌な顔一つ出さずに手伝ってくれる山本は、本当に良い奴だなぁと思う。

暖かい日差しがカーテンの隙間からさしこみ、ぷんと珈琲の香りが漂うｵﾌｨｽはとても心地が良かった。

山｢なんか、いーですね。こういう雰囲気、っていうか｣

山本が放った言葉に、一瞬自分の心の声が漏れていたのかと思ってしまった。

福｢ね。久しぶりにゆっくりできる。しかも山本と｣

山｢…！僕も福良さんと休日過ごせて、嬉しいです｣

満面の笑みで返答した山本の笑顔がそれはそれは可愛くて。

福｢やまもと、それはかわいすぎる。ずるい｣

思わず本音がてできてしまう。

自分の言葉にびっくりしたのか、それとも照れたのか、山本は手にしていた珈琲カップを一瞬落としそうになっていた。

山｢福良さん、も。急にそういう事言うの、ずるいと思います｣

あぁダメだ、休日にこんなﾗｯｷｰｲﾍﾞﾝﾄがあっていいのか。いますぐこの可愛さを誰かに共有したい気持ちに駆られる。

福｢笑、お互い様｣

なんとか絞りだした言葉が お互い様。山本が俺をそんな風に思ってくれていたのが嬉しい。

山｢ですね、笑｣

へにゃ、とまた山本が柔らかく笑う。
動画での真剣な顔とのギャップ、というやつだ。

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