気まぐれ転校生【男主】

気まぐれ 其の二十一 ページ23

「──ヒーロー……？ どうして？ 私達は貴方の両親の命を奪ったのよ？ なのに、どうして……」





べーモは心底意味がわからないって表情で僕を見つめる。くーさわだって静かだけどその表情は、明らか僕の言ってる事が分からないと言いたげだった。





「うん。くーさわ達は、僕にとっての［ひーろー］。だって、助けてくれたから。あの二人から、僕を……」





目を閉じると、思い出す僕の過去。
かーくん達と遊んでいる時以外は、何も楽しいことなんてなかった。僕の両親は、僕を見て不気味そうな目を向ける。






……だけど、くーさわ達は違ったんだ。くーさわ達は、僕の両親の命を奪ったけど、だけど僕に不気味そうな目を向けることなんて無かった。





それどころか、僕をここまで育ててくれた。





「だから、ひーろー。くーさわ達は、僕のひーろー」





ポタリとベーモから涙が零れ落ちる。くーさわは、優しそうな目で僕を見つめる。僕は、そんな二人を抱きしめた。




「あのね、だからね……そんな風に思い詰めないで？ 僕にとって、皆はひーろーだもん。笑って？」






「……ありがとう。貴方は私の……いや、私達のたった一人の大切な“Angel”よ」






そんなベーモの声は、震えていたけどでも、どこか嬉しそうだった。

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