気まぐれ転校生【男主】

気まぐれ 其の十六 ページ18

「コナン君、Aに何があったのか教えてもらってもいいかな？」




僕はつい先程まで震えていたAが自分の腕の中でスヤスヤと眠ったのを確認して、コナン君に質問する




「うん。帽子をかぶった男の人が急に『自分達がどれ程お前を探したか分かってるのか』って叫んだんだ。

多分A兄ちゃんは知らないみたいだったから怖かったんだと思う」




『自分達がどれ程探したのか分かっているのか』
…………ああ、Aの昔の友達か
彼等には悪い事をした
あんなにも大切にしていた彼を［引き離した］のだから


しかし今Aに過去の記憶等は黒の組織にいる時の記憶しかない
それ以外の記憶は必要ないものとして全て消されているけら



「そっか、ありがとうコナン君。

Aは今日は帰るよ。蘭さん達にも言っておいてくれるかい？」





僕の言葉にコナンくんは強く頷き、その場を去って行った



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「よぉ、名探偵」



夜、建物の屋上で2人は対面していた
1人は何かを決意した表情でトランプ銃を相手に構え、もう1人は何かを考えながら靴に手を添えている




「…………お前、A兄ちゃんと知り合いなのか？」




少年____基江戸川コナンが怪盗キッドに問う
コナンは確信していた。Aに話しかけた帽子男が怪盗キッドだと
理由は簡単な事。彼からトランプ銃がチラリと見えてしまったから



真剣な表情のコナンに対して、怪盗キッドは辛そうな表情を隠すように笑い、トランプ銃を降ろした




「____幼馴染だよ。

って言ってもまぁ、あいつ行方不明になっちまったから小学一年生になる少し前までの付き合いだけどな」





コナンは動揺した。まさかAが怪盗キッドの『幼馴染』だとは思わなかったからだ
そんなコナンをチラリと見た後、キッドは言った




「………名探偵。頼みたい事がある」




『頼みたい事』。キッドがまさか自分を捕まえようとしている人間に頼みたい事をするとは思わなかったから





「あいつを、Aを守ってやってくれ。

俺じゃあきっと守れない」





キッドから出てきた言葉にまたも動揺するコナン
だが、その動揺もしばらくすると収まる
コナンは応えた




「当たり前だろ。A兄ちゃんは俺にとってもう大事な人なんだから」





コナンの応えにキッドは満足そうに、だがどこか悲しそうに笑った

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