【3年A組】ゲッケイジュの花を、君たちに【男主】

陸 ページ8

＊




「――という、事だ」

「……ふぅん」



＊ああ、本当に馬鹿らしい。
＊結局の所、どうして澪奈が死んだのかを考えるってことでしょ？


＊それを知って、何になるのだろう？

＊罪滅ぼしをしてもらうの？
＊澪奈を追い詰めた、みんなを。

＊なにも、変わりはしないのに。
＊ヒトは、外の顔は変えられても、根本的には変えられないのに。


＊それなのに――どうして、この先生は自分の人生を台無しにしてまで、澪奈が死んだ理由をみんなに考えてもらいたいのだろう？



「……僕は、人質なんだ」

「うん、どうしても教室に行ってほしかったのは、この為だからね」



＊澪奈さんと、最期まで友人でいた近藤にも、考えて欲しいから。


＊そう言って、先生は僕の頭を撫でた。


＊……確かに僕は、澪奈と最期まで友達だった――と、思いたい。

＊けど、澪奈が僕の事を頼った事は一度も、ない。


＊何度、『頼ってほしい』と言っても、澪奈が首を縦に振ることは無かった。

＊ただ、僕が澪奈を護りたくて、みんなのイ ジメから、庇ってた。護ってた。

＊護れる範囲で、護っていた。


＊ただ、それだけ。それだけなんだ。

＊そんな僕は、本当に澪奈の友達と言えるのだろうか。頼られたことがないのに、澪奈のことを、友達と言ってもいいのだろうか。


＊何度考えても、それだけは分からない。

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