壱 ページ3
＊
今日は3月1日――僕含める魁皇高校3年生は、後10日でこの高校を卒業する。
だからと言って何かをするわけでもなく、僕はいつもの様に保健室に入って、いつもの場所にカバンを置き、いつものベッドに寝転ぶ。
あと数分くらいしたら、きっと保健室の先生か担任の柊先生がやって来て、教室で授業を受けるかどうか、聞きに来る。
何回聞いても同じなのに、諦めないのかな、なんてことを思いながら、どちらかの先生が来るのを待つ。
それまで寝ることもせず、ただただ保健室のベッドの上でスマホを弄りながらゴロゴロする。
先生が来るまで寝たりしないのは、前に寝てたら武智先生に「失礼だ」的なことを言われたから。
別に、失礼な態度を取る気はないから先生が来るまで起きて待っている。
コツ、コツ、と聴こえてきた足音。きっとこの音は、柊先生の足音だ。
今日は保健室の先生は、もう少しあとに来るのだろう。
ガラガラと扉を開けられ、その足音は迷うことなく僕のいるベッドへと向かってくる。
「――おはよう、近藤」
「おはよ、柊先生」
今日は早いんだね。
そう？ いつも通りだと思うけど。
そんな会話を少しだけして、今日もまた教室へ行くかどうかを聞かれる――はずだった。
「……悪いけど、今日は教室に来てくれないか？ 大切な話があるんだ」
「……ここじゃ、ダメな話？」
澪奈が――僕の大切な友達がいなくなったあの日から、僕は自分のクラスに行っていない。
それどころか、クラスメイトの人たちだって、見たくないから避けてきた。
今更、行かなきゃ行けないの？ 澪奈をいじめたあの人たちがいるクラスに。
柊先生は、知ってるから今まで僕がここで過ごしてても何も言わなかったんじゃないの？
そう言いたくても、僕を見る先生の瞳はどこか真っ直ぐで――断るに断れなくなった僕は、少し目を伏せ、小さな声で言った。
「――美術室なら、良いよ。でも、教室はイヤだ」
目の前にいる柊先生が、少しだけ目を見開いた後に、優しく笑って頷いた。
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ハル(プロフ) - クロりんごさん» ファイト！(p｀･ω･´q) (2019年1月31日 22時) (
レス) id: 1d552beaf6 (このIDを非表示/違反報告)
クロりんご(プロフ) - ハルさん» 応援ありがとうございます！ (2019年1月31日 22時) (レス) id: 738c9471c2 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - クロりんごさん» 名前変えたけん！後、読んだよ！めっちゃ良いね！(*≧∇≦)ﾉ頑張って！ (2019年1月31日 21時) (レス) id: 1d552beaf6 (このIDを非表示/違反報告)
クロりんご(プロフ) - 雨月さん» コメントありがとうございます！今日中にでも、あと数話か更新したいと思っているのでお待ちください！ (2019年1月31日 17時) (レス) id: 738c9471c2 (このIDを非表示/違反報告)
クロりんご(プロフ) - ハルさん» コメント返信遅くなりすいません。てっきりKAI様と同じ方と思っていました。応援ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。 (2019年1月31日 17時) (レス) id: 738c9471c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：クロりんご
| 作成日時：2019年1月13日 3時
