新美君と、番外編【男主】 (ページ15)

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十四話ページ15

〈夢主君と太宰さん〉

sepia様リク

ふわふわ、そんな効果音が付いてそうな雲を
僕はごんを抱きしめながらただ静かにじっと見上げていた

外の世界に出て、光の世界を知って、色んな人の笑顔を知って、思ったことがある

空は、雲は、とっても広くて大きいんだなぁ……って

そんな普通のことを、ボーッとしながら思っていた事がある

雲ってどんなのだろう？とか、
空はどこまで広がっているんだろう？とか、
雲ってふわふわしてて、柔らかいのかな？とか、
そんなことを思っていた事もある

結局、そんな真実は分からないまま時が過ぎていくばかりで
ヘッセに聞いても、ただ微笑まれただけだったし

後、こんな事も思ったことがある

人は死んだらどうなるのだろう？

って。ヘッセに聞いたら『空の上で、大切な人を見守っている』って、返ってきた

空の上…………それってつまり、ヘッセもいるのかな？
空の上で、僕を見守ってくれているのかな？
彼のことを、笑顔を思い出してしまって泣きそうになるのをこらえる

「やァA。そんな表情をしてどうしたんだい？」

ぽん、と肩を優しく叩きながら、治は目の前に現れた。…………服や体がびしょびしょなのは敢えて触れないでおこう

「……別に……」

ぷい、とそっぽを向きながら僕は応える
ごんも僕の真似をしてぷい、とそっぽを向いた

「……ヘッセの事かい？」

ふわり、優しげに微笑みながら治は云う
その言葉が図星で僕は思わず固まってしまう

「その様子だと。図星のようだね」

やれやれと云いたげに治はまた笑う
でも、治なりの優しさなのかそれ以上の事を聞こうとはしなかった
ただ、ぽん、と僕の頭を撫でてこう云った

「今日は、一緒に帰ろう」

まるで幼い子供に問いかけるように云った治の言葉に応えるように、僕はごんを抱きしめている両手を片方だけにし、もう片方の手で治の手をギュッと握った

そしてお互いの顔を見つめ合い、どこかおかしくて笑った

そんな僕達を、夕日の光が優しく照らしていた

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「……治、手が冷たい……」

「嗚呼、きっと入水したからだね！」

「また入水したの……？」

「見事にしゅっぱいしたけれどね」

その後どこかほんわかした雰囲気で手を繋いでいる二人の姿を乱歩さんたちがみたとか見てないとか

sepia様、リクエストありがとうございます！

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